その六十 謎の指輪
ハンスは透視の術を使って金の魚の体を透かして見ました。中に、何かの影が見えます。
ハンスは、魚の尻尾を持ってさかさにしました。
魚は、ばたばたとあばれましたが、そのうち、口から物を吐き出しました。
空中でそれをつかんだチャックが、それをみんなに見せました。
それは、不思議な輝きを持つ指輪でした。
あっと思って、ハンスは、自分の指にはめていた指輪を見ました。その指輪は、旅の初めにロレンゾからお守りにもらった指輪でしたが、今、魚の口から出てきた指輪は、色や輝きは全然ちがいますが、形はそれにそっくりです。
「なんだ、その指輪とそっくりじゃないか。……もしかして、その指輪」
チャックはハンスの指輪を見て青ざめました。
「どうしたの?」
アリーナが聞くと、チャックは、作り笑いを浮かべて、「なんでもない」と言いました。
「しかし、これで、てがかりはおしまいだぜ。賢者の庭をさがすにはどうすればいいんだい」
セイルンが言うと、他の三人は考え込んでしまいました。
「もう一度、詩の中の言葉を考えてみよう」
ハンスは言いました。
「たしか、賢者の庭で見張っているのは、ヘスペリアの竜だ。ヘスペリアは、西を表すとソクラトンは言っていたから、もしかしたら、ロータシアより西にまだ知らない土地があるのかもしれない。それに、チャックの言っていた詩では、未知の国を越え、海を越えて、頂きが太陽に近い、古い山々をさがせと書いてあった。つまり、ロータシアからまだ海を越えた西に、天に近い頂きを持つ山々のある古い国があるんだ」
四人は再び、雲に乗りました。まったく、セイルンがいなければ、こんな旅はとっくにあきらめていたでしょう。でも、雲に乗っての旅なんて、ただの移動でしかありませんけどね。たとえ不便でも、のんびりとまわりの景色を見ながら旅するほうがずっといいと作者の私は思います。
ロータシアを横切って西に進み、また海に出ました。
ハンスは遠視の術を使って、四方を見渡しますが、海があまりに広すぎて、ほとんど何も見えません。小さな島は無数にありますが、天に届きそうな高山を持つ山なんて見つかりません。
およそ一週間も飛んだでしょうか。前方に、大陸が見えてきました。しかし、おどろいたことに、それはグリセリードの大陸でした。
「ええっ。西に進んでいたのに、東に来ちゃったの?」
アリーナはあきれたように声をあげました。
ハンスは透視の術を使って金の魚の体を透かして見ました。中に、何かの影が見えます。
ハンスは、魚の尻尾を持ってさかさにしました。
魚は、ばたばたとあばれましたが、そのうち、口から物を吐き出しました。
空中でそれをつかんだチャックが、それをみんなに見せました。
それは、不思議な輝きを持つ指輪でした。
あっと思って、ハンスは、自分の指にはめていた指輪を見ました。その指輪は、旅の初めにロレンゾからお守りにもらった指輪でしたが、今、魚の口から出てきた指輪は、色や輝きは全然ちがいますが、形はそれにそっくりです。
「なんだ、その指輪とそっくりじゃないか。……もしかして、その指輪」
チャックはハンスの指輪を見て青ざめました。
「どうしたの?」
アリーナが聞くと、チャックは、作り笑いを浮かべて、「なんでもない」と言いました。
「しかし、これで、てがかりはおしまいだぜ。賢者の庭をさがすにはどうすればいいんだい」
セイルンが言うと、他の三人は考え込んでしまいました。
「もう一度、詩の中の言葉を考えてみよう」
ハンスは言いました。
「たしか、賢者の庭で見張っているのは、ヘスペリアの竜だ。ヘスペリアは、西を表すとソクラトンは言っていたから、もしかしたら、ロータシアより西にまだ知らない土地があるのかもしれない。それに、チャックの言っていた詩では、未知の国を越え、海を越えて、頂きが太陽に近い、古い山々をさがせと書いてあった。つまり、ロータシアからまだ海を越えた西に、天に近い頂きを持つ山々のある古い国があるんだ」
四人は再び、雲に乗りました。まったく、セイルンがいなければ、こんな旅はとっくにあきらめていたでしょう。でも、雲に乗っての旅なんて、ただの移動でしかありませんけどね。たとえ不便でも、のんびりとまわりの景色を見ながら旅するほうがずっといいと作者の私は思います。
ロータシアを横切って西に進み、また海に出ました。
ハンスは遠視の術を使って、四方を見渡しますが、海があまりに広すぎて、ほとんど何も見えません。小さな島は無数にありますが、天に届きそうな高山を持つ山なんて見つかりません。
およそ一週間も飛んだでしょうか。前方に、大陸が見えてきました。しかし、おどろいたことに、それはグリセリードの大陸でした。
「ええっ。西に進んでいたのに、東に来ちゃったの?」
アリーナはあきれたように声をあげました。
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