「血圧」をとりまく予防医学に一石を投じる(抜粋記事)
西式健康法西会本部 支部長
西 万二朗
高血圧と降圧剤
高血圧に対して降圧剤を使用するべきか否かというテーマは、すでに一部の医療、民間療法関係者等の間では論争になっています。降圧剤使用に否定的な意見は、血圧制御システム異常としての高血圧症の存在は否定しないが、基本的に生物の自律的コントロールは大変優れたものであって、血圧を上げるように調整しているということは、ほとんどの場合、血圧を高めに維持しないと抹消の循環が十分に行われなくなるという必要性があるからで、多くの場合、薬剤を用いて血圧を調整するというような余計なことはしないほうが良い。
さらには、降圧剤による高血圧抑制によって得られたと考えられる直接的な余命の延長効果と、降圧剤を使用し続けていることが原因と考えられる、その他疾病による余命の短縮率を比較すると、降圧剤使用のメリットはほとんどないどころか、有害であるとさえ言える。と言うことに集約されるでしょう。
脳卒中・脳梗塞・脳出血
医療関係者以外では「脳卒中・脳梗塞・脳出血」の違いを正確に理解している人のほうが少ないでしょう。脳の血管(脳内の動脈)に、何らかの障害が生じたことが原因となる病気の総称が「脳血管疾患」であり「脳卒中」ということになります。つまり、「脳血管疾患」と「脳卒中」は同義語です。
脳血管疾患を大きく分類しますと、「脳梗塞」と「脳出血」に分けられます。「脳梗塞」は脳動脈血管が詰まってしまい、脳細胞の一部に十分に血液が行き渡らなくなってしまった状態で、詰まらせた原因の違いによって病名が異なります。
他所でできた血の塊など(多くは心房細動が原因となり、左心房で形成された血栓と考えられている)が脳動脈に流れて行き、動脈血管は徐々に細くなるのでやがて詰まってしまいます。これが「脳塞栓」です。
一方、血管そのものが何らかの原因によって細くなってしまい(コレステロールが原因となる血管内付着物(アテローム等)の沈着)、血の塊を生じてしまった結果、脳動脈の血行が著しく悪くなる状態が「脳血栓」です。 脳血管の出血性疾患は、以前は「脳溢血」と呼ばれることが多かったようです。現在は、出血部位の違いによって「脳(内)出血」と「クモ膜下出血」とに大きく分け、さらに、脳(内)出血は出血部位によって、被殼出血、視床出血等に小分類されます。脳の表面に配置された動脈血管が破れて出血する脳血管疾患は「クモ膜下出血」と呼ばれます。
少なくとも15年以上前から、降圧剤を処方されている方の場合、多くの方が降圧剤を使い始める際に医師から、次のような説明を受けていたのではないでしょうか。「血圧が高いと脳の血管が破れて大事に至る場合があるから、薬を使用して血圧を適正値にコントロールしないとならない」
ところが、最近、降圧剤を処方されるようになった方は、受けた説明のニュアンスが変わってきています。「降圧剤を使って血圧をコントロールする目的は、主として脳梗塞の予防であい、高血圧を放置しておくと、心疾患、脳梗塞の原因になるから、血圧をコントロールしなければならない」という説明に変わって来ているのです。
脳梗塞は実際に減少しているのか
降圧剤を服用している人は、現在、全国で約2000万人に達しているそうです。厚生労働省の統計によれば、死亡原因としての脳の出血性疾患は、1975年には死亡者全体の20%であったのが、2005年では6%に激減している一方、脳梗塞は逆に、各々同時期の10%から15%へと増加しているというデーターがあります。
降圧剤治療を受ける人が増加しているにもかかわらず、現在では主たる予防対象となっている脳梗塞で死亡する人が増加してしまったのでは、単に有害であるということになってしまいます。また、今日のように脳外科の平均的水準が上昇しているにもかかわらず、死因となる脳梗塞は増加しているということになると、実際の脳梗塞発症率は激増しているのではないか、という可能性すら予想させます。
血圧が高いことを“よし”とする人はいないでしょう。私もそうです。血圧が高いことは、循環系に何らかの問題を抱えているということで、もちろん良いことでは絶対にありません。それでも、血圧を降圧剤で下げて「良くなった」、「良くなっている」と単純に考えるのは、とんでもない了見違いであって、からだ全体への影響を考慮した場合、降圧剤は大原則として使わない方が良いというかんがえなのです。
その他にも降圧剤の効果を疑問視する見解、副作用に対する懸念は相当あるようですが、より詳しくお知りになりたい方は『高血圧は薬で下げるな!』浜六郎著(角川書店)をご一読ください。
単なる現代医学批判ではない提言
いつの間にか、降圧剤使用目的が脳溢血から脳梗塞、高血圧性の心疾患予防に移行しはじめている。
①脳の出血性疾患は、単なる高血圧だけでは説明がつかないという考え方が定着し、奇形等による脳動脈瘤が原因であるとされ始めた(脳外科分野で近年、圧倒的に主流となっている考え方)
②脳梗塞の予防に対しては、満足できる証拠がない。仮に有効であるとしても、やや血圧が高いという程度では、もともとそれほど高くはない発症率が約2倍弱になるだけ。
③降圧剤による高血圧治療をする人が増加するほど、死因としての脳梗塞は増加(証拠有)し、認知症も増加しているように思われる(証拠不十分)
これらの事実から、血圧を上げて全身の血液循環を正常化させようとしている自然の反応をわざわざ薬剤で妨害した結果、その副作用として他の重大な疾病の原因になるのだとしたら、降圧剤使用については誰でも否定的にならざるを得ない、ということです。
最後に実用的な対処法を1つお伝えします。とても簡単なことです。多くの方々が医師に言われるままに降圧剤を受け入れるのは、やはり昔のイメージによる高血圧の結果としての脳溢血に対する恐怖でしょう。血圧が上がって、ある日、激しい頭痛が続いた後、または何の予兆もなく突然、脳の血管が破れて出血するかもしれないと考えたら、とても恐ろしいことであると思います。
そこで、脳血管の破裂、出血を防止する方法は、これは極めて簡単です(とはいっても理論医学ですから、モデル実験、動物実験、臨床実験はいずれも行われてはいないことは御承知ください)。それは、腎機能に異常がない場合は、十分に水分を摂取するということだけです。「たったそれだけ!」と、拍子抜けされてしまったのではないかと思いますが、なぜそれで良いのかということを解説していきます。
脳血管を破裂させない方法
脳というのは、構造的に神経細胞から変化したものですから、内部の灰質部分にはほとんど血管がありません。つまり、ほとんどの脳動脈血管は脳表面や、脳実質の隙間である脳室などに面した部分に露出している状態となっています。
一般の骨格筋に血液を供給する動脈は、傷つく可能性を少しでも低くするために、組織深部に配置されており、骨格筋などに保護された状態となっています。ですから、100㎏のバーベルを持ち上げるとき、血圧が瞬間的に260~270㎜Hgに上昇したとしても、腕の動脈周囲は分厚い筋肉に囲まれており、血管が想定以上に膨れて、押し広げられてしまうようなことは、まずありません。
簡単な物理の問題です。中に液体の入っていない、つまり空気を入れてキャップを閉めたガラス瓶と、口元まで一杯に液体を入れてキャップを締めたガラス瓶に、それぞれ十分な重量の錘をつけて海中に沈めると、どうなるでしょうか。空気を入れたガラス瓶は推定数十メートル(そこまで、もたない可能性も大)で水圧によって破壊します。一方、液体を入れた方は、100m?1000m?いえ、1万m以上の深度の海底に沈んでも割れません。つまり、ガラス瓶を破壊する作用は、外力によって物質に変形が生じ、その変形量がその物質の伸び、たわみ、ひずみ能力限界を超したことによるのであって、加わる外力、圧力の絶対値は何の関係もないという物理学の基本です。気体は圧力によって容易に体積が変わります。水圧が大きくなってくるとガラス瓶には押しつぶそうとする力が働き、変形させようとしますが、内部の空気も同時に体積を減じてしまい、支えるものがなく、またガラスには柔軟性が余りないため、比較的弱い圧力でも破壊に至ります。 ところが、液体は圧力が加わっても体積の変化はほとんど起こりません。(ですから油圧機器が成立します)。そのため、深度が深くなることによって加わる圧力は増大しますが、中の液体は体積を減じませんから、ガラス瓶の変形は起こらず、必然的に破解には至らない、という至棘簡単な原理です。
血管が破壊に至るプロセスもまったく原理的には同じであり、破解されるかどうかの分岐点は、血管内の圧力絶対値ではなく、血管の変形量と材質の強度、柔軟性のみに依存するということです。動脈血管内圧が200㎜Hgを上回ったとしても、その血管の周囲にある物質が変形したり体積が変化しなければ、血管そのものは変形しようがありません。血管自体が変形しなければ、血管の破壊も起こらないということになります。
脳血管の場合、その周囲を支えるものは筋肉ではなく脳脊髄液であるということは、解剖学では何百年も前から知られていることです。つまり、脳脊髄液がきちんと満たされておりさえすれば、脳動脈血管の内圧がいくら上昇したとしても、脳血管が破れることはない
しかし、体内に水分が不足しているときには、脳脊髄液は最優先に確保すべきものという仕組みにはなっていません。脱水症状が起こると一般的に頭痛が生じますが、これも脳脊髄液減少による脳動脈血管の膨張に起因すると考えられます。 人の瞬間最大血圧は300㎜Hg未満です。一般的に高血圧症と言っても、150~160㎜Hg で、大変だと大騒ぎしていますが、大気圧は760㎜Hgもあります。常に誰でもがそれだけの大気圧を受けていますが、誰一人として、それを苦しいとは感じていません。
管理者からの一言
水を、1日に2ℓ~3ℓ飲む健康法が蔓延しています。若い人から、年輩者まで、ペットボトルを持ち歩いて、お茶や、水を、チビチビと飲んでいます。テレビやラジオ、市のスピーカーまでも、脱水症に気をつけましょう、水分を摂って下さいと、叫んでいます。水は老廃物も流してくれます。きれいな水を飲むと頭や身体中が生き返った感じがしてきます。
水はあらゆる生命とつながっているそうです。鉱物もダイヤモンド以外は、水で繋がっているようです。繋がらなくなったのが砂で、水の結合力がなくなったからのようです。人間の意識と宇宙意識も水が媒介して共振共鳴して繋げてくれているのだそうです。水こそが神様です。水を大切に、敬いましょう。