第二十章 戦いの決意
村での募兵活動を終えてフリードたちはフランシアに戻った。来た時はフリードとティモシーの二名に途中で拾った三人の娘の五人だったが、今は二十七名の大所帯である。馬は二頭しかいないから、旅も来た時よりは遅い。
彼らがパーリャに戻ったのは、もう秋も深まった頃であった。そして、彼らが戻るとほとんど同時に、エルマニア国がレヌール河を渡ってフランシアとの国境のアルーザ地方を侵略したという情報がパーリャにもたらされた。
パーリャ郊外のアキムの別荘に着いたフリードは、ジグムントたちとの再会の喜びもそこそこに、戦への対応についてライオネルと話し合った。
「おそらく、エルマニア国は、アルーザからローヌを通ってパーリャに向かうでしょう。エルマニア軍の進軍速度が通常通りなら、最初の大きな戦いは、二週間から半月後、戦場はローヌかカロになります。問題は、ローラン国がどう出るかですが、フリード殿は、フランシアと同盟を結ぶようにローラン国王を説得できるでしょうか」
「その事だが、実は……」
ライオネルに向かってフリードは、実は自分はローラン国の貴族ではなく、むしろローラン国王に恨みを持つ庶民の人間である事を打ち明けた。
あっけに取られた顔のライオネルは、彼には珍しく大笑いした。
「そうですか。本当の所、あなたの振る舞いには貴族らしい所がないな、とは思っていたのですが、やはりそうでしたか。だが、そんな事はかまいません。今の世の中は、力のある人間が腕でのし上がれる時代です。我々は、戦に勝って、これから貴族になればいいのです」
笑いをやめて真面目な顔になり、ライオネルは、ならば話は簡単だ、まず我々だけでローラン国を攻め落とそう、と言った。
「もちろん、ローラン国がいくら小国でも、千人以上の軍隊を相手に戦うのは簡単ではありませんが、エルマニア国を相手に戦うよりはましでしょう。我々がのし上がるためには、どうせどこかで冒険をしなければなりません。その相手として、ローラン国は手頃です」
「しかし、百人足らずで一国を相手に戦えるかな」
「我々の百人は、普通の軍隊の二百人に相当します。これは自惚れではなく、そのように鍛えてきたのですし、また、私には大敵を打ち破る秘策があります」
ライオネルの力強い言葉にフリードは頷いた。
いよいよ、父や母の仇、ローラン国王と戦うのだ、と思うと、フリードの胸の中には熱く沸き立ってくるものがあった。
村での募兵活動を終えてフリードたちはフランシアに戻った。来た時はフリードとティモシーの二名に途中で拾った三人の娘の五人だったが、今は二十七名の大所帯である。馬は二頭しかいないから、旅も来た時よりは遅い。
彼らがパーリャに戻ったのは、もう秋も深まった頃であった。そして、彼らが戻るとほとんど同時に、エルマニア国がレヌール河を渡ってフランシアとの国境のアルーザ地方を侵略したという情報がパーリャにもたらされた。
パーリャ郊外のアキムの別荘に着いたフリードは、ジグムントたちとの再会の喜びもそこそこに、戦への対応についてライオネルと話し合った。
「おそらく、エルマニア国は、アルーザからローヌを通ってパーリャに向かうでしょう。エルマニア軍の進軍速度が通常通りなら、最初の大きな戦いは、二週間から半月後、戦場はローヌかカロになります。問題は、ローラン国がどう出るかですが、フリード殿は、フランシアと同盟を結ぶようにローラン国王を説得できるでしょうか」
「その事だが、実は……」
ライオネルに向かってフリードは、実は自分はローラン国の貴族ではなく、むしろローラン国王に恨みを持つ庶民の人間である事を打ち明けた。
あっけに取られた顔のライオネルは、彼には珍しく大笑いした。
「そうですか。本当の所、あなたの振る舞いには貴族らしい所がないな、とは思っていたのですが、やはりそうでしたか。だが、そんな事はかまいません。今の世の中は、力のある人間が腕でのし上がれる時代です。我々は、戦に勝って、これから貴族になればいいのです」
笑いをやめて真面目な顔になり、ライオネルは、ならば話は簡単だ、まず我々だけでローラン国を攻め落とそう、と言った。
「もちろん、ローラン国がいくら小国でも、千人以上の軍隊を相手に戦うのは簡単ではありませんが、エルマニア国を相手に戦うよりはましでしょう。我々がのし上がるためには、どうせどこかで冒険をしなければなりません。その相手として、ローラン国は手頃です」
「しかし、百人足らずで一国を相手に戦えるかな」
「我々の百人は、普通の軍隊の二百人に相当します。これは自惚れではなく、そのように鍛えてきたのですし、また、私には大敵を打ち破る秘策があります」
ライオネルの力強い言葉にフリードは頷いた。
いよいよ、父や母の仇、ローラン国王と戦うのだ、と思うと、フリードの胸の中には熱く沸き立ってくるものがあった。
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