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気の赴くままにつれづれと。
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何か書きたい気持ちはあるが、アイデアを掘り下げる気力が無いので、昔書いた作品を「清書」しておく。書いたのは1998年なので、(ノートによると1月3日の1日で書いたもので、推敲も何もしていない。)18年も前の作品である。中学生か高校生の書いたような下手なハードボイルド小説だが、ゴミにするのもつまらないから、ここに上げておく。
題名の「町の名は」は、ダシール・ハメットの「町の名はコークスクリュー」から取ったもので、内容も同作品から、というより、同作品を下敷きにした黒澤明の映画『用心棒』をモデルにしている。ハメットの作品は読む機会が無かったが、題名の「町の名はコークスクリュー」というのはいい題名だなあ、とかねがね思っていたのである。
手元に何の資料も無しで書いたので、警察組織や武器などについての記述はひどくいい加減である。それ以外にも妙な記述はたくさんあるだろうが、下手なりに面白いところが少しでもあればそれでいいと思っている。
「町の名は」
(1)
男はラッキー・ストライクを箱から1本取り出し、口にくわえて火をつけた。一息深く吸い込んで煙を吐き出した後、煙草をくわえたままソファに身を沈める。いつも通りの安ホテル、いつも通りの煙草の味だ。
部屋のベッドサイドの小テーブルに置いたポータブルの薄いCDプレイヤーから、コルトレーンの「say it」が流れている。旅のお友としていつも持ち歩いているプレイヤーと、数枚のCDの一つだ。
窓の外にはけばけばしい赤いネオンがまたたくのが見える。
男は目を閉じて物思いに耽った。年の頃は四十前後の中年男である。疲れた表情だが、日に焼けた顔の作りは青銅を彫ったように端正だ。髪は長めで、黒々としている。ソファから投げ出した足は長い。筋肉質の体で、身長は180くらいだろう。
「小島の件で一心会がどう動くかは、こちらでも調査中だ。あんたの事だから足は着いていないと思うが、しばらくここを離れて身を隠しておくのがいいな」
警察庁長官東城一矢は、まだ四十代前半でありながら警察庁のトップに上りつめた切れ者らしい鋭い顔を男に向けながら言った。
「残念ながら、小島に渡った金は回収不能だ。しかし、これ以上せびり取られないだけでもマシだろう。まったく、日本の大企業という奴は、どこもかしこも脛に傷を持っているから、あんな総会屋ごときにつけ入れられるんだ。問題はあいつのバックの一心会だな。小島の金の大部分は一心会に上納されていたという話だから、小島を殺(や)られた一心会は必死で下手人を探しているはずだ」
東城はデスクの引き出しを開け、紙包みを取り出して、それをデスクの上に置いた。
「200万ある。これで特に不満は無いと思うが……」
男は、不満は無い、というように軽く肩をすくめた。
「リスクを負うのはそっちも同じでしょう。むしろそっちは社会的な地位も高いだけに、やっていることがバレた時に失うものも多い。私は、せいぜい自分の命だけだ。幸い、家族もいないのでね。その自分の命もたいして惜しくもない」
「君のような人間があと二、三人いるとこっちも助かるんだがな」
「世直し団ですか。時代劇か漫画の見過ぎですよ。私は自分で使うカネが欲しいだけだ。正義感のために人殺しをする奴はいない」
「動機はどうでもいい。私は、自分がしたいことをするのに手足になってくれる人間が欲しいんだ。私の本当に知りたいことを教えてくれる人間、私に代わって人を殺してくれる人間がね」
「確かに警察庁のトップ自ら人を殺したんではまずいでしょうな。私はカネを貰い、あんたは自分の欲求不満を解消する、というわけだ」
「欲求不満か。確かにその通りだ。私は今の立場にいるかぎり、本当の欲求を満たそうとすれば、手足を縛られているようなものだ。正義の執行者が悪を為すことは表向きには不可能だからな。しかも、その『悪』が自分が本当に望む正義なのだから。信じて貰えるかどうか分からんが、私がこの世界に入ったのは『悪い奴』をやっつけたいという、それだけだったんだよ」
「少年の夢ですな。ところが、いざ警察のトップになってみると、悪い奴に対して何一つ手出しができない。それでこういう行動に出たわけだ。でも、いずれバレますよ。これでも日本は一応法治国家らしいですからね」
「そうならないように気をつけるよ。もし助けが必要な時は、この番号に電話してくれ。私の私設オフィスだ。オフィス名と番号は覚えて、この名刺は処分してくれ。秘書が電話に出るはずだから、名前と連絡先を言っておいてくれればいい。そうすれば、後でこちらから連絡する」
男は3本目の煙草に火をつけ、曲の終わったCDを再びプレイにした。東城との会談が昨日で、そのまま夜行列車に乗って、今朝この町に着いたのだった。
町の名前は北**市。東北地方の大都市の一つだ。冬の初めの肌寒い気候の中を一日歩き回り、町の様子を見た後、このホテルに投宿した。特に警戒を要するような気配も無かったので、近くのレストランで夕飯を食った後、ホテルに戻ってきたのである。
「原稿料をお支払いするチャンス」という言い方から判断するに、新潮社の社長は、自分の会社の出版物に寄稿している人間を「出入りの業者」とみなしているのかもしれません
50歳をこえて、高血圧といわれる領域に入った。
酒飲みの麺好きだからしかたないとは思うものの、このままほうっておいて薬にたよらなければならなくなる事態はさけたい。
というわけで、2014年夏に血圧計を買った。上腕で測る一般的なタイプのもので、3779円。
しばらくは毎日朝晩測り、スマホの血圧アプリに記入した。グラフが右肩下がりになれば、運動や減塩のはげみになるだろう。
歩く時間を意識してふやした。軽いジョギングをこころみたこともあるが、一週間で挫折。とりあえず散歩は好きなので、歩きつづけるしかない。
血圧本を何冊か読み、減塩も心がけるようになった。たとえば寿司は、醬油につける食べ方をやめた。小皿に少量入れた醬油を箸でつっつき、それを寿司の上にチョンとつけて食べる。コハダなど酢じめのネタは醬油完全カット。はじめは「醬油好きのこのオレが……」と情けない気持ちになったが、やがて慣れた。
そんな努力をはじめたのに、グラフが右肩下がりになっていく気配はなかった。なんかギザギザ。1、2カ月程度じゃ結果が出なくて当然なのだが、血圧を測りつづけるモチベーションは下がる。挫折した。
その後は数カ月おきに思い出したように測って「……改善してねえ」「むしろ上がってないか?」と、ため息つきながら引出しにしまいこむ、という感じになった。
年に一度の健康診断の数値を目にすると、さすがにやる気が再燃する。寿司の「減塩食べ」は習慣化したが、ふと気づくと平気で連日ラーメンを食べたりしていて、 これじゃいかん、と思った。
ふたたび毎日測りはじめた。
「旅行や帰省の時にもきちんと測らなければ!」と思いこんで、2015年の暮れに、持ち運びやすい手首式血圧計を購入。送料込みで2865円。
これが失敗した。上腕式より、数値が高めに出るのである。
どちらかといえば上腕式のほうが正確、といわれているので、手首式のやつに「ふっかけられてる」ような気持ちになる。
上腕式が、私の気持ちを忖度し、サービスとして数値を低めにしている可能性もなくはないが(ないです)、どちらが正しいか判明しないまま、手首式は押入れの「失敗したもの墓場」にしまわれることになった。ごめんな。
最近半年ぶりに、もちろん上腕式で測ってみた。まったく改善していない。もう一生、常に血圧を気にして暮らさなければならないんだな、とため息をつき、また定期的に測りはじめた。
…………のだが…………
毎日だとつづかないので、週3、4回でいいことにしたりと、敷居を低くしてやってなお、一カ月ぐらいで飽きて挫折。
夏休みの宿題「毎日の気温調べ」がぜんぜんできなかったのと同じような、性格的なアレだろうか、と思ったりする。
よしだせんしゃ
マンガ家 1963年生まれ 岩手県出身 『伝染るんです。』『ぷりぷり県』『まんが親』『おかゆネコ』など著作多数。「ビッグコミックスピリッツ」にて『忍風! 肉とめ し』を連載中。新連載『出かけ親』が「ビッグコミックオリジナル」15号(7月20日発売)よりスタート。妻はマンガ家・伊藤理佐さん
※本誌連載では、毎週Smart FLASH未公開のイラストも掲載
(週刊FLASH 2017年8月1日号)
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