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「推理小説」としての「湖中の女」

ハードボイルド小説を推理小説の範疇に入れていいのかどうか分からないが、今では「探偵小説」(このほうが、まさにハードボイルド小説にふさわしい。)という名称は廃れているので、一応推理小説としておく。もちろん、だいたいは「謎」の要素はあるからだ。
しかし、チャンドラーの「湖中の女」は、推理小説としてはどうなのかなあ、という気がする。そもそも、題名(原題)が「The lady in the lake」なのだから、話の前半(まだ第5章までしか読んでいないが)の「謎」である、お金持ちの夫人の失踪の謎は、彼女が「湖の中の死体」となって解決されるのではないか。何しろ「in the lake」なのだから、このlady(レディと呼べる女ではなく、淫乱で万引き常習犯で無軌道な女だが)は、湖中の死体になっているしかない。on the lakeなら、湖の傍(onは「上」ではなく、接触を示す。「上」でも接触状態としての「上」である。)ということも考えられるだろうが、わざわざ「in」としているのだから、水中だろう。
つまり、推理小説としては、この題名はダメダメだ、と言えるかと思う。まあ、死体のありかではなく、死体になった理由が問題ということだろう。そうなると、私の推理は、湖畔のロッジの管理人の、同じく失踪した女房が(殺人犯として)一番怪しいと思う。というのは、管理人の退役軍人は色キチガイの富豪夫人と寝たことで、その女房と喧嘩し、女房は失踪したからだ。(経済関係では、この富豪夫人を殺して利益を得る者は、今のところ出てきていない。まあ、せいぜい、殺害のついでに身近な品物を盗む程度だろう。)つまり、怨恨による殺人事件である。この失踪した管理人夫人が「lady in the lake」であるというのは無理がありそうだ。さすがに、山小屋の管理人夫人をレディとは呼ばないだろう。大富豪夫人も資質はレディではないが、階級は上流階級だ。
ついでだが、富豪夫人の失踪の数日後に夫人が打ったとされる電報は、山小屋管理人夫人がメキシコだかどこかから打ったわけである。
ちなみに、以上の推理は、全41章の5章までを読んだ段階でのものである。もちろん、解説などは読んでいない。まあ、ハードボイルド小説は「冒険小説」であって、謎解きなど添え物にすぎない、と考えるのが正しいかと思うので、上に書いた「推理」はただの思考娯楽としての推理だ。

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これからは企業による「少額詐欺」が常態化するか?

「大摩邇」所載のV・コールマンの記事の一部だが、これからは「企業による詐欺」(個々の金額は小さくても、集積すると巨大なカネになる)がどんどん起こってくると私は予測している。なぜなら、世界的な民衆の貧困化と無法化(小さな犯罪は政府に放置される)が進むので、企業の生き残りには詐欺が手段のひとつになると考えられるからだ。下の事例は、その魁(さきがけ)となる、重要な事例だと思う。

(以下引用)

13. 最新の駐車場詐欺にご注意ください。先日、駐車場会社から100ポンドの請求がありました。私が駐車したのはいいが、チケットを買っていないというのです。私が駐車場に到着したときの写真と、40分ほど後に出発したときの写真があったそうです。今、私はいくつかの理由から、古い駐車券を保管しており、1時間の駐車料金を支払ったことを示す該当のチケットを見つけることができました。そのチケットには、私の車のナンバーが印刷されていました。ほとんどの人が駐車券を捨ててしまうので、これは新しい詐欺なのでしょうか?私が受け取った督促状は、犯行が行われてから1カ月以上経ってから届きました。駐車場会社は、駐車券が捨てられたと思うまで待ち、それから督促状を送るのでしょうか? 自動車運転者は、チケットを買い忘れたのだろうと(おそらく多くの場合、正しく)考えるのでしょうか?

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美文と名文の違い

私は、翻訳者というのを尊敬している。外国語を熟知しているだけでなく、日本語の達人でないと翻訳はできないだろう。だが、先ほど読み始めた、レイモンド・チャンドラーの「湖中の女」は、冒頭の2ページを読んだだけで、頭の中に「?」が幾つも浮かんできて困るのである。翻訳は清水俊二で、映画字幕の専門家でもあったと思う。で、その疑問が原文のせいか、翻訳のせいかは不明だが、日本人が日本文を読んで理解できない以上、その日本語を書いた翻訳者に一応の責任は帰せられるのではないかと思う。
きちんと抜き出さないと説明不十分になると思うが、長い抜き出しは面倒なので、簡単に書く。主人公の探偵が依頼主と思われる化粧品会社社長を訪ねる場面のようだ。

1:一方の隅に背の高い三角形のショウ・ケースがおかれてあった。

ショウ・ケースは立体だが、「三角形」は平面図形である。とすると、このショウ・ケースは、どこがどのように三角形になっているのだろうか。一番該当しそうなのは(三角形ではなく)「三角柱」だと思う。まさか、正面から見て三角形、つまりピラミッド型というわけではないと思う。

2:すべてのシーズンとすべての場合のクリームとパウダーと石けんとトイレット・ウォーターがあった。

これは純粋に私自身の無知によるものだと思うが、化粧品と並べられた「トイレット・ウォーター」とは何なのだろうか。まさか、水洗便所で流す水ではあるまい。「トイレット」が化粧室の意味なら「化粧水」(というのがありそうな気がするが)とでもすべきではないのか。


3:息を吹きかけただけでふっ飛ぶのではないかと思われる背の高い細い瓶に入った香水

これは作者チャンドラーの比喩(彼は比喩が大好きなようだが)が下手なのだと思う。背の高い細い香水瓶は、息を吹きかけたら「倒れる」だろうが「ふっ飛び」はしないだろう。お前は「三匹の子豚」の狼か。

4:(その香水は)咽喉のくぼみに一滴たらすだけで粒のそろったピンクの真珠が夏の雨のように降りそそいでくるだろう。

咽喉に「くぼみ」があるか?それに、なぜ香水を咽喉に垂らすのだ?
まあ、チャンドラーがお得意の比喩をできるだけ奇抜にしようとした勇み足だろう。

5:部屋のすみの手がとどきにくいしきりの中の小さな交換台に小ざっぱりした金髪娘が座っていた。

「交換台」とは何だろうか。そして、交換台とは「座る」ものだろうか。「手がとどきにくい」とは誰の手が何にとどきにくいというのだろうか。電話交換台(?)席の娘に客の手が届きにくいのか?客は何のために娘に手を届かせようとするのか。
 
6:ドアから正面の飾りのないデスクには背が高く、ほっそりした、薄い色の髪の娘が座っていた。

娘は「座っていた」のだから、その娘が「背が高い」かどうかは分からないだろう。座っていても背が高く見えるほど座高が高いとしても、足が短ければ背は低いかもしれない。

ほかにも、どういう情景なのか、はっきりイメージできない描写が多い。チャンドラーは名文家だと見られているようで、確かに良く知られた名セリフが多いが、文飾が過ぎて、読者が明確なイメージを作れないことが多い気がする。


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身長と健康

生チョコぽん酢さんの記事の一部だが、私の経験でも、90歳くらいのお婆さんは可愛い人が多い。高齢男性は、威厳を保とうとするせいか、顔つきが不機嫌で嫌みさが倍増しがちで、愛嬌がゼロという人が多いようだ。私など、黙っていたら殺人犯みたいな顔だろうな、と自覚している。

下の記事とは関係ない話だが、老齢になると、体が小さいことは健康的に有利なのではないか、という気がする。つまり、現代人の大半は、機能的には無意味に巨大化しているというのが私の仮説である。そう考えたのは、先日、スーパーの駐車場で見た小柄な高齢女性の歩く動作が実に軽快な印象で感心したのだが、一昨日、少し遠くまで散歩した時に偶然同じ女性を見かけ、たぶん、同じスーパーからの買い物の帰りだと思うのだが、それが、そのスーパーから2キロか3キロくらい離れた場所だったのである。つまり、毎日のようにそれだけの距離を軽々と歩いているわけだ。
体が大きいことは、スポーツ競技などでは戦闘能力の高さになるが、健康や日常生活の上では不利なのではないか、というのが私の仮説だ。闘争能力抜きなら、生存に一番有利な体型は、140センチ35キロくらいの体型だろう、と根拠なく言っておく。
で、大柄な人間(現代人の大半)の高齢になってからの体の不調は、無意味に大きな体を維持するために起こっているわけである。もちろん、肥満も同じことである。要するに、大型車を動かすにはエンジン(排気量?)も大きく、燃料もたくさん使うということである。身長が高いと、いかに節制しても、その体を維持するのに無意味なエネルギーを要するわけだ。身長180センチで体重35キロというわけにはいかない。
もっとも、小柄でも、使用エネルギーの大きな生活だと食事の量は増えるだろう。そして或る程度運動しないと筋肉量(特に足の筋肉量が重要。)が減り、さまざまな不調を起こす。


(以下引用)

さて、その後私の方ですが、とあるおばあさんをお迎えに行きました。

このおばあさんとは初対面ですが(普段は相方が行っている)、電話応対は何度もしており、会話にならなくて少しイライラしてしまうのですよ。

今回はスケジュール的に私が行くことになりまして、初対面の感想ですが・・・・


めちゃくちゃ可愛いwwww


なにこのおばあちゃん、本当にかわいい。

ずっと一緒にいれそうなくらい愛らしいのです。

人の事をここまで愛らしく思えたのなんていつぶりだろう、心が温かくなりました。

このおばあちゃんは98歳、年相応で耳が遠いくらいで、手押し車で歩行ができます。

もともと息子さんと2人暮らしみたいですが、その息子さんが病院に入院してしまい、その面会の為に利用してくれている感じです。

とまぁここまでは歩きながら聞きまして、いざ車に乗せると、運転席からおばあちゃんが座っている席までの距離感では、おばあちゃんが話す言葉は聞き取れても、私が話す言葉はおばあちゃんには届きません。

でもずーーーっと話しかけてきてくれます。

マジかわいい

話の内容もかわいくて、

おじいさんが生きてたら今106よ

生きてたらって何ww

このへんは随分田舎臭いところみたいね

それ自分の家なwww

どうやら元々駅の方に住んでたらしいのですが、家賃が高くて、息子さんの定年を境に郊外にある公共住宅に10年前に引っ越したそうです。

高齢になると10年程度では景色が新鮮みたいですねw

アレな人が皆こんなにかわいかったらいいのになぁと思いながら仕事をしていました。


この2件で思うのが、結局自分がどう現実を受け止めるかなんですよね。

アレな人をかわいく思うことが出来れば、ストレスもぐっと減るわけですよ。

理不尽にイライラするような出来事でも、変に戦おうとせず平謝りすれば丸く収まることだってある。

その選択1つ1つは毎回正解にたどり着けないとしても、本当に考えさせられました。

そうこうしているうちに、おばあちゃんの目的地の病院に。

時刻は14時半でした(面会は15時から)。

一緒に受付して、病院の人におばあちゃん預けて、私は帰りまで離れます。

そしたら20分ほどで病院から電話がきました。

病院「実は息子さんの病棟でコロナが発生しまして、急遽面会できなくなったので帰りのタクシーをお願いします

私「え?あ、はい


出る前に言えや・・・


面会と同時に発覚するようなことではないですからね。

面会に行ったのに追い返されるって、前にも似たような事がありましたが(最近の病院はよくあるのです)、あんまりです。

うーーーん、やっぱり全部が全部可愛く思うことは不可能ですが、このおばあちゃんも最初こそ怒っていたものの、

私が「あーー、タイミングが悪かったんですねぇ」って言ったら「そうねぇ」と言いながらまた笑顔になって、息子さんにこっそりあげる予定だったキャラメルを3つ私の手のひらに乗せてくれました。


キュン


おわり



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顔(マスク)と「本当の自分」

山本弘という作家の「ビブリオバトル」シリーズの中に、こういう一節があって、まったく同感である。(この作家の言動を全肯定するわけではない。「陰謀論」否定論者というのは馬鹿だ、と私は思っているから。まあ、「頭のいい馬鹿」だろう。作品には面白いものもある。)

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自分を装っている人は大勢います。でも、本気で自分を内面から変えたいと思ってる人なんて、ごく少数じゃないでしょうか。だって、自分を変えるということは、それまでの自分を殺すこと――一種の自殺ですから。

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たいていの人は他人の前で演技をしているものだが、その演技が苦痛である人と苦痛でない人がいる。で、その苦痛の解決法のひとつは「自分を変える」ことで演技の自分に近づけることである。だが、それは上記の言葉の言うように、一種の自殺だから、それ自体も非常な苦痛であるわけだ。この種の「自分を変える」行為ができない人間が引きこもりになったりする。外界との接触を断つことは、当人には天国なのである。これが第二の解決法だ。もちろん、自分を変えることに成功して、幸福になる人もいるだろう。

外面(そとづら)、内面(うちづら)という言葉は、人間の二面性(社会的自己と本質的自己)をよく示している。だが、その内面(うちづら)というものさえ、「家族の前での演技」であることも多いだろう。つまり、「本当の自分」は心の中にしか存在しないし、その自己認識すら自分への欺瞞であることも多い。

演技と同様に、自分の真実の顔を隠すのが「マスク」である。女性の場合は化粧もマスクのひとつだろうか。マスクとは「仮面」なのだが、最近は衛生マスクで顔を隠すということも、顔を隠したい人の助けになっている。

山本弘の同じ本の中に、「美少女仮面ポワトリン」への言及があったが、私は、このテレビ番組の題名は実に秀逸だなあ、と昔から思っている。番組自体は一度も見たことはない。番宣か何かの断片的な紹介シーンでは、主人公役の少女俳優は仮面をつけていなかったが、まあ、普通の顔で、美少女には見えなかったが、「ポワトリン」という名前が秀逸だなあ、と思っていたわけだ。何となくポワポワした感じで、語尾の「~リン」が可愛さを強調している。よくこんな名前を考えられたものである。しかし、問題は「美少女仮面」とは何か、ということだ。「美少女の仮面」で、中身は凄いブスということか、それとも、「仮面の下は美少女」ということか。後者なら、題名に偽りあり、である。

私は「オーバーロード」のイビルアイというキャラが大好きなのだが、こちらは。不気味なマスクの下の顔が美少女らしい描写がちらりと出て来る。私はこのキャラの性格が好きで、そうすると、その不気味なマスクまで好きになる。顔というのは、マスクと大差ないと見ることもできる。顔など、整形手術でどうにでもなるのだから、問題は内面(ないめん)なのだろう。



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政治と暴力団の密接な関係

副島隆彦はアメリカ政治史研究が本業のようなものだから、政治史の裏面にも詳しい。
その一端が、「今日のぼやき」の新しい記事にあるので、一部を紹介する。面白い内容である。もちろん、そんなの常識~♪と思う人もいるだろう。

(以下引用)

 マイヤー・ランスキーはユダヤ系ですからユダヤ系マフィアで、マフィアはイタリア系じゃなきゃいけないんです。だけどユダヤ系のマフィアで、これはニューヨークにはユダヤ人が多いので勢力を一つつくれるんだけど、あくまでイタリア系でなきゃいけない。

 もう一つはアイルランド系がいるわけで、これがケネディ家なのね。ジョン・F・ケネディのお父さんのジョセフ・ケネディ(Joseph Patrick "Joe" Kennedy Sr.、1888-1969年、81歳で死)が禁酒法時代に酒の密輸で大儲けして成り上がった男で、恐ろしい男なんです。その息子3人を大統領にすると決めた訳です。

ジョセフ・ケネディとJFK

 その手続きはしっかりしていてまあ立派なものだったと思うけども、本当のアメリカ人たちの生き方の凄まじさと恐ろしいまでの迫力がある訳で、でもそれは日本の大暴力団の山口組とか稲川会とか住吉連合なんかの親分たちの雰囲気とよく似ているんですね。それは自民党の政治家たちの中の実感のこもった人たちとも非常によく似ている。笹川良一(ささがわりょういち、1899-1995年、96歳で死)やら児玉誉士夫(こだまよしお、1911-1984年、72歳で死)やらね、あの人たちの雰囲気と全く一緒ですね。政治と大暴力団は裏でつながっていて、利権があるから利益が出る。

 あと、土方業や沖仲士業。沖仲士のことをロングショアマン(longshore man)というんだけど、今でも港湾労働者たちと、今は重機が発達してガントリークレーンでどんどんコンテナを運ぶから大きな港だけど、昔は人間が船から荷物、船荷を直接運んでいた訳で、大変な数の沖仲士たち、ロングショアマンがいたわけです。それをマフィアが束ねていた。

 あとは警備会社(セキュリティカンパニー)をつくって、暴力団自身が警備をやっている。だから経営側とつながっている訳です。それで左翼の労働組合たちと殴り合いをしたり、労働組合の幹部を殺したりとかもする。すさまじい世界なんだけど、これが世の中の基本です。

 ただ、最近のアメリカ映画を見ていると、みじめなアメリカ人の側面が大変よく描かれるようになって、マイヤー・ランスキーも死んだときにはほとんどお金が残っていなかった。13万ドルしかなかった。それが残された奥さんと子供たちに渡っている訳だけど、大した金じゃないです。でも長男坊が病気で、障害者でしたから。1500万ドルを長男坊の口座に入れたという話もある。それも本当でしょう。

 だから隠していたお金がかなりあるんだけど、でも本当はマイヤー・ランスキーは最後はもう全然お金がなかったみたい。それは子分たちに全部配って、子分たちが持って逃げちゃったというのが真実だと思う。

 マイヤー・ランスキーのことで私が初めて知ったのは、どのように死んでいったか知らなかった。その前に、バグジー・シーゲルはラスベガスをつくった男だけど、フラミンゴホテルというのをつくって、それに大変お金がかかって、更には愛人のヴァージニア・ヒル(Virginia Hill、1916-1966年、49歳で死)にお金使い過ぎちゃった。300万ドル、500万ドル、お金使い過ぎちゃった。それで女に狂ったという面もあって、1946年かな、戦後すぐですけど、ラスベガスの経営がうまくなっていってないということで、ラッキー・ルチアーノ以下のニューヨークの会議でもう殺すという決断が出た。

ヴァージニア・ヒルとバグジー・シーゲル

 マイヤー・ランスキーはそれを何回も嫌がって、殺すのだけはやめてくれと抗議したんだけど、もうそういう訳にいかないとなった。アメリカ人のマフィアのセンスで、帳簿をきちんとつけなきゃいけない。お金を勝手に盗んだり裏切ったり持ち逃げしたりすると死刑になるという掟(おきて)があるんですね。それで殺された。

 バグジーについてはもう話しませんが、マイヤー・ランスキーはユダヤ系ですから、やっぱりニューヨークを地盤にしているので、イスラエルが1947年に建国されるんですけど、そのためにお金を貢いでいるんですよ。それはイスラエルにも2つの大きな勢力があって、ダヴィド・ベン=グリオン(David Ben-Gurion、1886-1973年、87歳で死)という人が建国の父で大物なんだけど、それにもっと過激な、人殺しもいとわないような集団もいるんです。それはイルグーン団(Irgun)という組織ですね。

ベン=グリオン

 そうすると、お金もイスラエル建国のために貢いでいるし、ユダヤ系の財界人たちもいるわけだから、それに守られているんですよ。私が今回分かったのは、FBI長官のエドガー・フーヴァー(John Edgar Hoover、1895-1972年、77歳で死)は、これはおかまさんなんだけど、これが40年間、アメリカを裏で支配して、大統領たちをも脅していた。ジョン・F・ケネディもエドガー・フーヴァーたちに殺された訳ですが、フーヴァーと秘密協定があったんです。

ニクソン大統領とエドガー・フーヴァー

 だからランスキーは、脱税と、それから殺人と、いろんな犯罪容疑で指名手配されていたんだけど、戦後、1970年のことですけど、一回、イスラエルに逃げるんですね。そして2年間いるんです。ユダヤ人でイスラエルに帰国した者は自動的にイスラエル国籍がとれるというイスラエル帰還法という法律があるんですが、あなたはそれには当てはまらないと言われていまして。なぜならアメリカ連邦政府が身柄引き渡しを求めたからです。

 それでゴルダ・メイア(Golda Meir、1878-1978年、80歳で死)という女の首相が、もう仕方がない、やっぱり強制送還しなさいとなったんですね。だけど1972年に、マイヤー・ランスキーがもう既に70歳ぐらいですけど、帰っても殺されないし、3カ月半だけ刑務所に入って、それですぐ出されて、あとはマイアミに行った。で、マイアミで引退して、10年間暮らして死んだんですね。

晩年のランスキー

 この映画では、ライター(物書き)を1人雇って、そいつに本当のことをしゃべると言って語るシーンがずっとある。しかも語る場所が、毎回必ずダイナーといって安いイタリア系の飲食店、食堂です。

 だから日本語で言うファミレスですね。ダイナーでいつも会ってしゃべっていた。つまり高いところで、豪華な感じで食べない。つまりお金がなかったと同時に、もう老人だから達観していたんですね。多分、海辺の、マイアミの浜辺を歩くシーンとかはあった。豪華なホテルや邸宅も遠くのほうに見えたりします。

 だから同じフロリダ州のもっと北の、今、トランプたちがいるパームビーチのような超豪華なところではないんだけど、マイアミ市の、でもかなり高級なコンドミニアム、一番高級なコンドミニアムで住んでいたみたいです。

 FBIとしては、何だか知らないけど3億ドル、たった300億円なんだけど、そのお金を隠していると言って、ずっと探って回って監視してるわけですね。アメリカ的な警察のセンスだろうけど、マイヤー・ランスキーその人を牢屋に入れてもしようがないんだ。それよりも隠している金を取り上げるほうが警察の捜査目的にもかなうという考え方をするんですね。だからたった300億円なのに、それを探して回る。1970年の300億円、3億ドルだから、今でいえばその10倍ありますね。だから3000億円なんですよ。それを探して回る。

 そうすると、どうやら真実としても、スイスのジュネーブ、レマン湖のほとり、スイスの一番西側だけど、ここはフランス語圏で、フランスに近い、ここのプライベートバンク、秘密銀行じゃないけど、13あるんだけど、そのうちの一つの貸金庫に預けてあったんですね。最終的に、FBIはそれを押収というか、見つけ出すことはできなかった。子分たちが持って逃げたんでしょう。そういうシーンも描かれていました。

 普通なら、人をたくさん殺しているから自分も殺される運命にあるんですね。これは政治権力闘争と暴力団などに本当に必然的にある問題で、人を殺している人間は自分も殺されるんですよ。この大きな人類の法則があってね。それは憎しみを買うから、残っている人たちが復讐に来る訳ですね。そういう法則があるんだけど、マイヤー・ランスキーはうまい具合にそれを生き延びたんですね。

アメリカの政府ともつながって、うまく生き延びた。ほかの人は大体殺されていますけどね。でもアル・カポネだって糖尿病みたいにして死んだし、それから大親分だったラッキー・ルチアーノだってシシリーに帰って、最後はシシリーで死んでいますね。

 マイヤー・ランスキーが一番金もうけしたのは、実はキューバなんです。それも戦後すぐのキューバでね、まだラスベガスが開発される前のキューバです。

 ラスベガスは、TVA計画、テネシー渓谷開発で、そこに巨大なフーバーダムができて、フーバーダムから水が引かれてきたんです。だからネバダ砂漠の中にフーバーダムがあって、そこからラスベガスに水が引かれてきて、あと電気がダムでつくれるわけね。それが初めて引かれてきた時期なんです。だから砂漠の中に町がつくられた。

 そのときにネバダ州自身が賭博業、カジノをやっていいという許可の法律をつくるんです。だからニューヨークのマフィアたちがやってきたんです。そしてその経済的繁栄をつくれということで、許可するんです。だから警察の幹部やら州の政治家たち、要は連邦政府の上の政治家たちともつながっている訳で、もうちょっと言うと、フランクリン・ルーズベルト(Franklin Delano Roosevelt、1882-1945年、63歳で死)大統領なんかもつながっているんですよ。

 あとはもうちょっと、反共産主義の嵐が起きたときの代表であるジョセフ・マッカーシー(Joseph Raymond "Joe" McCarthy、1908-1957年、46歳で死)という上院議員がいるのね。これがいわゆる反共の嵐であるところの反共時代をつくるんだけど、このことについても私はたくさん論じました。このジョゼフ・マッカーシーがつき合っていたニューヨークのマフィアの弁護士であるロイ・コーン(Roy Marcus Cohn、1927-1986年、59歳で死)という男がいてね、これは非常に重要な男だけど、ロイ・コーンについてはあまり描かれてないんですよ。このロイ・コーンに、若いころのドナルド・トランプがお世話になっていたんですね。

マッカーシー(左)とコーン

トランプとコーン

 だからね、同じニューヨークのデベロッパーですから。デベロッパーといったって、巨大なビルをつくって、ホテルをつくって、商業ビルをつくって、それからカジノをそこの一番上のほうでやるわけね。そういうビルですから、もう暴力団絡みで、私はトランプもやっぱりニューヨーク・マフィアの大親分の1人だと思います。

 大事なことはね、これは私しか言ってないんだけど、ニューヨークのユダヤマフィアの後継ぎは明らかにマイケル・ブルームバーグ(Michael Rubens Bloomberg、1942年-、81歳)ですよ。マイケル・ブルームバーグはもう超大金持ちです。イギリスにポール・ジュリアス・ロイター()という男がいてね、これはロスチャイルド家の番頭なんですけど、ロイターがつくった通信の仕組みがある。

ドナルド・トランプ、マイケル・ブルームバーグ、ジャレッド・クシュナー

 そのころはまだ電報というレベルなんで、ティッカー(ticker)というんだけどね、カチカチカチカチって紙に穴があく形の送信手段なんですが、これで金融情報を売るようになった。それを買う金融会社がたくさん出てきて、それがロイターという会社なんです。ロスチャイルド家なんです。

ティッカー

 それに対して、このブルームバーグはアメリカで、1950年代、60年代ぐらいから、ニューヨーク・マフィアの流れとつながりながら初めて通信会社をつくった訳です。だからブルームバーグが後継ぎなんだと考えると、マイヤー・ランスキーはやっぱり大変な人物なんですよ。

 大きく言えることは、やくざ者映画をみんなつくるけど、本当は政治家が絡んでいて、国家が絡んでいる訳ですね。そして役人、官僚たちも絡んでいる。ここの流れで全体を見なきゃいけない。ただの暴力団映画じゃない。そんなもので、つくってはいけないんですね。

 ただ、そこはあんまり描けないんですよ、今でも。ただ、ちらちらと漏れ伝わってくる、あるいはシーンの一瞬一瞬に出てくるんですね。人殺しをしたり、血だらけで刺し殺したりするシーンだけでなく、本当は政治家との裏の取引とか、あと警官の幹部たちを買収しなきゃいけない訳です。取り締まりを止めさせるためにはね。あるいは警察の中にスパイを潜り込ませる。この激しい争いの中で、現実の政治と経済が動いているわけです。

(つづく)

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まだ、危険降圧剤を処方している医者はいないか?

降圧剤の副作用について何度か書いたが、それが明白な「厚生省(厚労省)通達」であることを下に転載して示しておく。ただし、私自身は降圧剤を使用し続けている。要するに、医師を盲信せず、出された薬はある程度自分で調べるのがいいという、「現代の常識」の話なのである。下の記事はその一例だ。
横紋筋融解症は、下の記事のような症状が出る。血尿などの症状もそのひとつである。脱力感は、私の場合は杖なしでは歩けないほどの歩行困難に至った。こうした通達が出たのは、よほどの報告例があったと思われるが、それまでは平気で医者は処方していたのである。当たり前だが、医者は自分で自分の処方する薬のすべてを経験してはいないのだ。そして、製薬会社の説明を鵜呑みにして処方するのである。
まあ、繰り返しになるが、或る程度の自己防衛が必要だということだ。

(以下引用)

血圧降下剤のアジルサルタン、横紋筋融解症などの重大な副作用が判明―厚労省


2016.1.18.(月)

 厚生労働省は12日、血圧降下剤の「アジルサルタン」などに横紋筋融解症などの重大な副作用があることが判明したとして、医療機関に注意を呼び掛けています。


敗血症治療に用いるピペラシリンナトリウム、急性汎発性発疹性膿疱症の恐れ


 今回、新たに重大な副作用などが判明したのは14の医薬品で、製薬メーカーに対しては「使用上の注意」に速やかに追記を行うよう指示しています。14の医薬品と、新たな「重大な副作用」は次の通りです。


(1)血圧降下剤の「アジルサルタン」(販売名:アジルバ錠10mgほか)


  ▽新たな【重大な副作用】:横紋筋融解症(筋肉痛、脱力感、CL(CPK)上昇、血中・尿中ミオグロビン上昇などが現れた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと)、また横紋筋融解症による急性腎不全発症に注意


(2)血圧降下剤・血管拡張剤の「アジルサルタン・アムロジピンベシル酸塩」(販売名:ザクラス配合錠HDほか)、「アムロジピンベシル酸塩」(販売名:アムロジン錠2.5㎎ほか)


  ▽新たな【重大な副作用】:劇症肝炎、無顆粒球症、横紋筋融解症、また横紋筋融解症による急性腎不全発症に注意


(3)血圧降下剤の「アリスキレンフマル酸塩・アムロジピンベシル酸塩」(販売名:ラジムロ配合錠HDほか)


  ▽新たな【重大な副作用】:劇症肝炎、無顆粒球症、横紋筋融解症、また横紋筋融解症による急性腎不全発症に注意


(4)血圧降下剤の「イルベサルタン・アムロジピンベシル酸塩」(販売名:アイミクス配合錠HDほか)


  ▽新たな【重大な副作用】:劇症肝炎、無顆粒球症、また横紋筋融解症による急性腎不全発症に注意


(5)血圧降下剤の「カンデサルタンシレキセチル・アムロジピンベシル酸塩」(販売名:ユニシア配合錠HDほか)


  ▽新たな【重大な副作用】:劇症肝炎、また横紋筋融解症による急性腎不全発症に注意


(6)血圧降下剤の「テルミサルタン・アムロジピンベシル酸塩」(販売名:ミカムロ配合錠APほか)


  ▽新たな【重大な副作用】:劇症肝炎、無顆粒球症、また横紋筋融解症による急性腎不全発症に注意


(7)血圧降下剤の「バルサルタン・アムロジピンベシル酸塩」(販売名:エックスフォー時配合錠ほか)


  ▽新たな【重大な副作用】:劇症肝炎、また横紋筋融解症による急性腎不全発症に注意


(8)高血圧・高コレステロールの治療に用いる「アムロジピンベシル酸塩・アトルバスタチンカルシウム水和物」(販売名:カデュエット配合錠1番ほか)


  新たな【重大な副作用】:劇症肝炎、無顆粒球症、横紋筋融解症。また横紋筋融解症による急性腎不全発症に注意


(9)特発性肺線維症の治療薬である「ニンテダニブエタンスルホン酸塩」(販売名:オフェブカプセル100mgほか)


  新たな【重要な基本的注意】:中等度および高度の肝機能障害(Child Pugh B、C)のある患者には「治療上やむを得ない」と判断される場合を除き、使用を避ける


(10)敗血症、肺炎、腎盂腎炎などの治療に用いる「タゾバクタム・ピペラシリン水和物」(販売名:ゾシン静注用4.5ほか)


  新たな【重大な副作用】:急性汎発性発疹性膿疱症、薬剤性過敏症症候群(初期症状として発疹、発熱が見られ、さらに肝機能障害、リンパ節腫脹、白血球増加、好酸球増多、異型リンパ球出現などを伴う遅発性の重篤な過敏症状が現れることがある。ヒロヘルペスウイルス6(HHV-6)などのウイルスの再活性化を伴うことが多い)


(11)敗血症、急性気管支炎・肺炎・肺膿瘍・膿胸・慢性呼吸器病変の二次感染などの治療に用いる「ピペラシリンナトリウム」(販売名:ペントシリン筋注用1gほか)


  新たな【重大な副作用】:急性汎発性発疹性膿疱症


(12)ニューモシスチス肺炎の治療に用いる「アトバコン」(販売名:サムチレール内用懸濁液15%ほか)


  新たな【重大な副作用】:無顆粒球症、白血球減少


(13)経口真菌剤である「イトラコナゾール」(販売名:イトリゾールカプセル50ほか)


  新たな【重大な副作用】:間質性肺炎(咳嗽、呼吸困難、発熱、肺音の異常(捻髪音)などが認められた場合には、速やかに胸部X線、胸部CT、血清マーカーなどの検査を実施し、本剤の投与中止、適切な処置を行う)


(14)マラリアの治療・予防に用いる「アトバコン・プログアニル塩酸塩」(販売名:マトロン配合錠)


  新たな【重大な副作用】:無顆粒球症、白血球減少


 


 厚労省は日本製薬団体連合会を通じて、各メーカーに添付文書の「使用上の注意」を速やかに改訂するよう求めています。医療現場では、これらの医薬品を使用する場合には観察や検査を十分に行い、患者の状態に異常があれば使用の中止や減量を行うとともに、適切な治療・処置を行うことが必要です。


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空を眺め、雲が往くのを眺め、風が吹くのを感じれば、
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