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気の赴くままにつれづれと。
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「カウンタック」や「ストラトス」など数々の「スーパーカー」を手がけた世界的デザイナーが、日本の軽自動車を「世界で最も優れている」と評価しています。「スーパーカー」と対極にありそうな「軽自動車」。どんなところが良いのでしょうか。
「やはり、世界で最も優れているカーデザインは、日本のマイクロカーですね」
世界各地のモーターショーを巡っていると、欧米のカーデザイナーたちからそんな言葉をよく聞きます。マイクロカーとは、軽自動車のことです。
こうした意見は、かのマルチェロ・ガンディーニさんも同じ。彼はランボルギーニ「ミウラ」、同「カウンタック」、デ・トマソ「パンテーラ」、ランチャ「ストラトス」など、60年代から70年代前半にかけて、イタリアのカーデザイン工房の大手・ベルトーネ社のトップデザイナーとして数々の名車を手がけた人です。日本でも自動車雑誌の特集記事が組まれるほどの有名人です。
そのガンディーニさんも軽自動車のデザインを絶賛しているのです。
筆者(桃田健史)は、集英社の週刊「ヤングジャンプ」で連載されていた漫画『カウンタック』の技術監修をしていました。その取材の一環として2006年、同作品の著者・梅澤春人さんらと一緒に、イタリアのトリノ市郊外にあるガンディーニさんのご自宅を訪問しました。山の中腹、古い修道院を改修した独特の雰囲気がある御宅で、シェパード犬がたくさんいました。
そして、ガンディーニさんは日常の足に、欧州仕様のスズキ「ワゴンR」を使っていました。「世界で最も優れたデザインのクルマは、『ワゴンR』のような日本のマイクロカーだよ」とハッキリ言っていたのです。
ちなみに、スズキは2000年代中盤以降、ハンガリー工場生産の「スイフト」をベースとした新ラインアップにしたため、欧州仕様「ワゴンR」の販売は中止されています。ダイハツ、ホンダなどを含めて、2015年時点で軽自動車は日本以外では正規販売されていません。そのため、外国人にとって軽自動車は“日本では大人気らしい謎のクルマ”なのです。
では、軽自動車のどこがどのように優れているのでしょうか。
その答えは「機能美」です。さらにいえば、“制約のなかで生まれた匠の技”です。
パッと見た感じは、背高でズングリした独特の雰囲気。「2ドアクーペ」「4ドアセダン」「5ドアハッチバック」、そして「ピックアップトラック」や「SUV」などのオーソドックスなクルマを見慣れている海外の人にとって、軽自動車のインパクトは極めて大きいのです。
しかも、全長3400mm×全幅1480mm×全幅2000mmという車両規定を目一杯使い、その空間のなかに、各種の収納スペース、多彩なシートアレンジという“からくり”を細工しているのです。また、小型ボディ車としては世界的に稀なスライドドアを車体の左右に採用できるほど、車体の剛性が高いことも圧巻です。
燃費の良さも驚きの対象です。排気量は660㏄と一般乗用車の半分以下。燃費がリッターあたり20km以上は当たり前になっています。
そして極め付きが、価格です。シンプルな仕様なら、80万円程度から。オプションパーツも多彩で、ユーザーが望めばフル装備で200万円を超えるスーパー軽自動車に仕立てることも可能です。そうした、ベースモデルの安さと豊富なカスタマイズパーツによる楽しみが共存しているクルマは、世界市場で軽自動車しかないのです。
長年に渡るスズキvsダイハツの2強時代から、「N-BOX」参戦によりホンダを加えて3強時代へと転移した軽自動車市場。ユーザーからは「軽自動車でもうやることはないのでは?」と言われていましたが、ここへ来て「ハスラー」や「S660」など、新種の軽自動車が続々と登場しています。
海外の人たちが羨む日本の軽自動車市場。結局、軽自動車は“ガラパゴス商品”であり続けることが、その良さを保持することになるのです。
【了】
世界各地で輸送機器、IT、環境などの取材を続けるジャーナリスト。近著に『アップル、グーグルが自動車産業を乗っとる日』(洋泉社)、『未来型乗り物「超小型モビリティ」で街が変わる』(交通新聞社)。
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