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超訳「踊るドワーフ」#1

一人の(一匹のと言うべきか)ドワーフが私の夢の中に現れて、ダンスを踊ってくれと私に言った。
それがただの夢だと私は知っていたが、その時の私は現実生活と同様、夢の中でも疲れていた。そこで私は非常に丁重にお断りした。ドワーフは気分を害した風もなく、自分ひとりで踊りだした。
彼は地面にポータブル・プレーヤーを置き、音楽に合わせて踊った。レコードはプレーヤーの周りに散乱していた。そのうちの幾つかを私はあちこちの山から拾い上げた。それらはまったくの音楽的ごた混ぜで、まるでドワーフはそれらを目を閉じて手に触れた限り集めたかのようだった。そしてどのレコードもその正しいジャケットの中に入っているものはなかった。ドワーフは演奏半ばのレコードをターンテーブルから取り上げ、ジャケットに入れもしないでレコードの山の上に投げ、その後でいい加減に手あたり次第のジャケットに入れた。グレン・ミラーのジャケットの中にローリング・ストーンズのレコードがあり、ラベルの「ダフニスとクロエ」の中にミッチ・ミラー合唱団があったりした。




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HN:
酔生夢人
性別:
男性
職業:
仙人
趣味:
考えること
自己紹介:
空を眺め、雲が往くのを眺め、風が吹くのを感じれば、
それだけで人生は生きるに値します。

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