北村薫の「八月の六日間」という小説の中に、室生犀星の詩が載っていて、その詩がシャンソン(たとえば「思い出のサントロペ」など)みたいで面白いので、メモしておく。(なお、言うまでもなく、表記は歴史的仮名遣い)
昨日いらつしつて下さい
きのふいらつしつてください。
きのふの今ごろいらつしつてください。
そして昨日の顔にお逢ひください、
わたくしは何時も昨日の中にゐますから。
きのふのいまごろなら、
あなたは何でもお出来になつた筈です。
けれども行停りになつたけふも
あすもあさつても
あなたにはもう何も用意してはございません。
どうぞ きのふに逆戻りしてください。
きのふいらつしつてください。
昨日いらつしつて下さい
きのふいらつしつてください。
きのふの今ごろいらつしつてください。
そして昨日の顔にお逢ひください、
わたくしは何時も昨日の中にゐますから。
きのふのいまごろなら、
あなたは何でもお出来になつた筈です。
けれども行停りになつたけふも
あすもあさつても
あなたにはもう何も用意してはございません。
どうぞ きのふに逆戻りしてください。
きのふいらつしつてください。
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