13:同人(天火同人)【○○○ ○×○】「人を集める、人との同調」
人と親しむには、こそこそせずに衆目の前で親しむのがよい。願望は通る。大きなことをやるのに利がある。君子は貞固さを守るのが利がある。
*外(上卦)は天、つまり剛健で、内(下卦)は離(火、日)つまり文明、天も日も上に上る性質があるので、同じ仲間になりやすい。だから、同人、ということらしい。天のようにすべての人の上に公明正大に存在するような「同人」関係こそ望ましい、というわけである。まあ、男女関係で言えば、私通や密通はこの場合の「同人」ではない、ということだろう。もちろん、陰謀仲間の「同人」関係もダメである。
14:大有(火天大有)【○×○ ○○○】「大なる所有」
大有はおおいに通る。
*卦辞が「大有 元亨」だけで、何の説明も無い。まあ、「元」を「おおいに」と読む読み方には私は反対だが、ここではその読み方も仕方がないかな、とは思う。「基本的には通る」だと、何か説明が必要になるだろうからだ。通らない場合とか、通るためのポイントとか。要は、目出度い卦であり、願望はおおいに通る、ということだ。上卦は離(日)で下卦は乾(天)で、下卦が伸長しても、陽が伸長するのだから問題は無い。「天高く燃える日が万物を照らす象」という説明が分かりやすい。ある意味では「地天泰」以上に目出度い卦だ。
15:謙(地山謙)【××× ○××】「謙遜の徳」
謙は通る。君子は事業を見事に成し遂げることができる。
*原文は「謙亨 君子有終」とだけ書かれており、「君子有終」とは何だ、と思ってしまうが、悪い意味ではなく、いわゆる「有終の美」の「有終」らしい。
陰爻の多い卦であり、しかも「山」はだいたい険難を表すのだが、この卦はわりといい。それだけ、「謙譲の徳」は中国では伝統的に尊重されていたのである。
なぜ上卦が地で下卦が山だと「謙遜、謙譲」になるかと言えば、山が地よりへりくだっているからだ、ということのようで、普通なら山は地の上にあるのだが、それが地の下に隠れているのが偉い、と見るらしい。まあ、昔の人の考えはよく分からない。山そのものは、いわば夜郎自大の象徴的なところがあり、地の一部のくせに偉そうに高くそびえているが、どんどん剥落して低くなる運命である。水のように低きに流れる性質も良くないが、山のように自らを高しとするのも好ましくない、ということだろう。
16:豫(雷地豫)【××○ ×××】「喜び、楽しみの時」
豫はリーダーを建てて戦をやるのによい。
*戦争と無関係な庶民には縁の無い卦辞で、それがなぜ「喜び、楽しみの時」なのか、意味不明だが、易経の解説もまったく意味不明なので、無理には解釈しない。「豫」の字の解釈自体が間違っている気がする。「豫」は「予」であり、「あらかじめ」とか「あずける」意味だろう。つまり、何か大事業(戦はその象徴としておく)をするのに、信頼できる人物にあらかじめ、すべて預けるのがよい、という意味であって、喜びや楽しみとは無関係だと思う。
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