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気の赴くままにつれづれと。
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野球界には、トレーナーと称される人間が格段に増えた。われわれの時代には、1球団に1人、ないし2人いれば、それで十分に事足りた。実際に専門家が多ければケガ人が減るかというと、そうではない。むしろ、数が多いほど故障者が増えるのが実情である。
医者と患者の関係にしても一緒だ。医者が増えても病人は減らない。なぜ、こうした現象が起こるのか。
人間というのは、若いうちは免疫力が強いから、何を食べても体が消化できる。ステーキなど動物性タンパクの強いものを食べたいだけ食べられる。しかし、年を取ってくるにつれ、あるとき病気になる。そのとき初めて、俺の食生活は間違っていたのだと人間は気づく。つまり、病気が教えてくれるのだ。では、病気にならないためにはどうすべきか、それを教えてくれる医者がいない。自分で考えるしかないのだ。
私は今年86歳になった。酒を断ってから6年がたつ。この年齢になってもシャワーで冷水を浴びているため風邪をひいたこともない。風邪で寝込んでみたいぐらいだ。
人間というのは、年を取れば取るほど損得勘定が消え、考え方が純粋になってくる。その考えは間違っていないと自信を持って言える。にもかかわらず、日本人というのは目上の人間を年寄り扱いして、まともに言うことを聞こうとしない。「老害」という言葉で片付けてしまう。いつから日本人はこんなに品のない言葉を使うようになったのか。
長く生きてきた人間には必ず、それだけの矜持がある。何を言いたいかというと、球団もOBに対するリスペクトを持てということだ。巨人なら水原茂さん、川上哲治さんたちの残した財産を大事にすべきなのだ。
繰り返し書くが、大切なのは教育である。指導者が選手の欠点を責めてばかりいたら物事は好転しない。そこは教える側も頭を切り替えて、知らないから教えてやると発想を転換すればいいのだ。人を伸ばすために、こうしなければいけないということを、根気強く言い続ける必要がある。
ところが、いまの指導者はベストコンディションで臨めと口にはしても、選手から「どうしたらベストコンディションになるんですか」と聞かれると、日ごろから勉強していないから答えに窮してしまう。こういうものを食べて、こういう考え方をしろと、なぜ具体的に言えないのか。
寝るときに熟睡しろというのは、その間にエネルギーをもらえるからだ。寝るという行為は、無心の状態にさせてくれる。病気で痛い痛いと思っていても、寝ている間は痛みを感じない。あれはエネルギーをもらって病気が治っている証拠なのだ。
しょせん人間というのは生まれたら死ぬ。それならば、世のため人のために尽くしていったほうがいい。
そして、自然の法則には従うべきだ。ところが、人間は身勝手だから自分に都合のいい法則を作ってしまう。球界でいえば、CSにコリジョンルール。そういうことに正面切って問題提起する評論家が少なくなった。だからこそ、私は間違っていることは間違っていると言い続けたい。年内の連載も今号が最後になった。読者の皆さんのご愛読に感謝したい。
●廣岡達朗(ひろおか・たつろう)
1932年2月9日生まれ。広島県出身。呉三津田高、早大を経て54年に巨人入団。大型遊撃手として新人王に輝くなど活躍。66年に引退。広島、ヤクルトのコーチを経て76年シーズン途中にヤクルト監督に就任。78年、球団初のリーグ制覇、日本一に導く。82年の西武監督就任1年目から2年連続日本一。4年間で3度優勝という偉業を残し85年限りで退団。92年野球殿堂入り。
写真=BBM
週刊ベースボール
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