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テレビで「知識」を得る馬鹿大衆

カマヤンのツィッターで知った記事だが、掲載サイトの名前は失念、というか最初から見てもいない。まあ、追跡するのは容易だろう。記事拡散は記事筆者の本意にかなうだろうと思って転載する。

(以下引用)


bunshun.jp



清水氏のところに、さる民放TV番組のADから電話。なんでも「枝豆は健康にいい」をテーマに企画が進行中とのこと。
まあ、体にいいだろうね、あれ。




そしてADは問う。
伊達政宗ずんだ餅を発明したというのは本当ですか?」
まあ、重野なおきの漫画にも出てきた一説だが…


残念ながら根拠は無い。むしろ、銚子や野田など江戸の大消費地を睨んだ醤油の製造地が、原料となる大豆の供給を東北地方に期待し、その結果として大豆生産が盛んになった副産物であり、そういう歴史を紹介したほうがおもしろいよ、…と清水氏は、歴史学者らしくアドバイス。やさしー!!




し。


ここから、一気にすごいことになっていく…


……向こうは「他に政宗に詳しい研究者の方はご存じないでしょうか」と聞いてきた。要するに、「オマエじゃダメだから、もっと詳しいヤツを紹介しろ」というわけだ。それでも心の広い僕は、「政宗」の専門家数人の名前を教えてあげて、丁重に電話を切った。
ところが、数日後、その同じADさんから、また電話がきたのである。聞けば、僕が名前を出した研究者からは、いずれも「ずんだ餅政宗が発明したものではない」と、にべもなく断言されてしまったという。そこで、困っているので、再度先生にお願いしたい、というのだ。
「いやいや、あなた、僕の話を聞いてました? ずんだ餅政宗が作ったものじゃない、って説明しましたよね?なんで、その僕が『お願い』されなきゃいけないんですか?」と返したところ、向こうからは、世にも恐ろしい答えが返ってきた。「ですから、とりあえずVTRで「ずんだ餅伊達政宗が作った」とだけ先生にコメントしてもらえないでしょうか? 放送時には必ず画面内に『諸説あります』とテロップをつけますから」


言葉を失うとは、このことだ。


政宗ずんだ餅を作った?」「いいえ」「そう答えてくれるだけでいいんですが」

今週の週刊文春なので、興味ある人は是非お読み下さい。あと「諸説あります」が注目されているが、冒頭で「民放」と作者が明言していますので、ご注意を


※ついでに、このコラムと、執筆者(清水克行)そのものにも注目してください…という話
m-dojo.hatenadiary.com







よくtwitterで、同じく歴史のあれこれの文章を書いておられる渡邊大門氏も、似たような経験談を書いてるけど、あんまり出来すぎてるんで、本当にノンフィクションなの?と時々思うんだが…清水氏が、週刊文春のコラムでそう書く、となるとまた違う。





…にしても、なんか、ここまですがすがしく悪のムーブをされると、一種の爽快感がある。


その民放、ADが所属してるのは「企画七課」じゃないだろうな。 


企画七課 パトレイバー内海 不思議な生き物


AD、おそらくこのままOKが出なかったら、清水氏の眼の前にやってきて、土下座でも五体投地でもやって、むりやりイエスと言う映像を撮ったんじゃないか。
これが、業界でしばしば名を知られた、ADのバンザイ・アタック、あるいはADタンク・デサントだ。




ADは、畑で穫れる。




令和の今でも、こんな不可能を可能にする、命しらずの「特攻野郎AD」がいるんだね…
こういう無茶…ADの尊い犠牲と、コメントする学者の寛容があったから、TVバラエティは成立していったのだろう。




に、しても。
「NO」というコメントをした人に、『とりあえず「YES」と言っていただけませんか』と頼むって、ほんと、百戦錬磨というか…たぶん面構えがちがうんだろうな。


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超訳「踊るドワーフ」#20


「本物の古い写真に見えるね」私は彼の興味を惹こうとして言った。
「革命前は」と彼は事実を述べる口調で言った。「私のような年寄りでも小僧だったのさ。だが、誰でも年を取る。あんたもすぐに私のようになるさ。待っててみな、坊や」
彼は大口を開いて笑った。唾が飛び、歯が半分失われた口の中が見えた。
それから彼は革命の話を始めた。明らかに彼は王も革命軍も嫌っていた。私は彼の喋るままにさせ、Mecatolをもう一杯彼に奢った。そして、タイミングを見計らって、彼はもしかして踊るドワーフのことを知らないかと聞いた。

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超訳「踊るドワーフ」#19

私はその男が、「磨き作業をしている3人の工員」とラベルを貼られた色あせた写真の下でMecatol(訳者注:酒の名かカクテルの名だろう。実際にあるものか、架空の酒かは不明。工場を思わせる「メカ」と「アルコール」を合成した名のようにも思われる。)を飲んでいるのを見つけた。私が彼の傍のスツールに腰を下ろすと、彼は写真を指して、「この、こいつが俺だ」と言った。
私は横目でその写真を注視した。右の方の、12歳か13歳くらいの少年が、この老人の若いころかと思われた。どこにも似たところは無さそうだが、一度指摘されたら、その両者の鋭い鼻の形や平たい唇の形の類似は明らかに見てとれるだろう。明らかに、この老人はいつもここに座り、新来の客が入ってきたらいつも、「こいつが俺だ」と言っているのだろう。

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超訳「踊るドワーフ」#18

その居酒屋は古い古いところだった。それは私が生まれる前から、あの革命の前からその場所にあった。何世代も前から今まで製象職工たちはここで酒を飲み、トランプゲームをし、歌うためにそこにやってきた。壁には製象工場の古い写真が並んで貼られていた。その中には、初代社長が労働者たちの仕事を視察しているところとか、昔の銀幕の女王が工場を訪れた写真とか、夏のダンスパーティの写真とか、その類のものがいろいろあった。革命軍は、王や王室や、その他王党派のものと見なされる写真はすべて燃やしたのだ。当然、ここには革命の写真もあった。革命軍が工場を占拠し、管理人を縄で縛った写真などだ。


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超訳「踊るドワーフ」#17


終業のベルがなるとすぐに私はステージ6のエリアに行ったが、その老人の姿は無かった。ただ、二人の若い娘が床を拭き掃除しているだけだった。痩せた娘が私に、その老人はおそらく居酒屋に行ったと思う、と言った。古い方のね。実際、そこで私はその老人を見つけた。背中をまっすぐにしてバーに座り、弁当箱を傍に置いて飲んでいた。

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自殺論

「大摩邇」から転載。緊急性や時事性があまり無いと思うのでこちらのブログに載せるが、興味深い内容で、自殺者の数の問題は本当は政治の問題でもあるだろう。しかし、自殺は最終的には個人の決断なので、政治の問題とするには無理があるわけだ。ある種の人々を窮迫させ自殺させやすい社会を作ったのは何か、という問いも大事だが、自殺はあくまで哲学の問題だろう。
そして、個人の思想の問題である以上は、それを家族の問題とするのも間違いであり、自殺によって自殺者の家族が蒙る迷惑(他者からの呵責)はあるべきでないのは当然である。
私自身は、むしろ「もっと自殺しやすい社会」であるべきだ、とすら思うが、「自殺に追い込む社会(自殺させやすい社会)」ではけっしてあってならないと思っている。この両者は完全に別なのである。
そして、自殺する人間は、親しい人間の受ける精神的衝撃を本当に考えて自殺しているのか、自分が抱えている問題は本当に自殺するほどの解決不可能な問題なのか、とことん考えてほしいと思っている。当たり前だが、自殺は一度しかできないのである。ただの「一時の気の迷い」で自殺した人間は膨大にいると思う。
「生きているだけでえらいんだよ」という生チョコぽん酢さんの言葉に半分は同意するが、自殺する人間はたいてい善良で気が弱い人間だと思う。悪党が自殺した例はほとんど無いのではないか。なぜなら、悪というのは我欲のためにするのであり、そういう強欲な人間が自殺するはずがないからだ。そういう人間が生きているだけで偉いはずがなく、生きていれば社会の迷惑で、死んでくれたら生きているよりもっと偉い。そして、世間で報道される自殺(大きな事件や問題の関係者の自殺)のかなりな割合は他殺だろう。

(以下引用)前半は省略。親しい人間に自殺された者としての記事筆者の思いである。


話題が少し変わりますが、自殺しても自殺にカウントされないって知っていますか?

このようなネット上の噂話を耳にしたことがある方も多いのでは無いでしょうか。


これは半分事実です。


例えば幼馴染のケースでは、飛び降りをしたのですが、自殺になりませんでした。

しかし密室で首を吊ったMちゃんは、自殺になりました。

理由は色々ありますが、国が自殺者を隠したいから、という陰謀めいたものでは一切ないと、私は感じています。


1)事件の可能性がゼロではないから。

基本的に1%でも事件事故の可能性があれば自殺にはなりません。

後から何らかの証拠が出てくる可能性もあるので警察も責任を取れないからです。

なので怪しい自殺は全て変死という扱いになります。

日本の変死は大体年間で10万人くらいでしょうか。

日本の自殺者は認定されているだけでも世界ぶっちぎりの最多なんですね。

しかし、実際には変死の半分くらいは自殺だと考えられますから(国際基準ではそのように計算されます)

つまり年間の自殺者はこの時点で年間8万人ということ(公表されている自殺者数の数倍)。

さらに、まだ裏があります。


2)遺族の精神的な問題
残された遺族は、体裁的にも心理的にも相当なダメージが残ります。

他者に話す際の体裁が保てるように、基本的に自殺では無い方が良いのです。


3)金銭的な問題
自殺は生命保険がおりない場合があります。

保険がおりないと、残された家族は、迷惑しか残りません。

自殺の際に他人に迷惑をかけてしまった場合の慰謝料やら修繕費も全額自費になる場合があり、残された遺族に多大な迷惑をかけてしまうのですね。

なので、基本的に計画的に自殺する人というのは、樹海等で消息不明になったり、事故に見せかけた方法を取る人が多いのでしょう。

(他にも心当たりがありますが内容的にここでは書けませんのでコミュニティの方で書きます)


もうここまで話せば察しがつくと思います。


 


まとめるとこうです。


 


日本の自殺者は認定されているだけでも世界ぶっちぎりの最多。

しかし実際には(1)のケースでは変死になるので、おそらく半分くらいの自殺は変死扱いになっている。

日本の変死者数は年間10万人なので、この時点で年間の自殺者は実質8万人ということ。

更に(3)の場合は、行方不明者や交通事故死等になりますから、それらをさらに加えると



日本の自殺者って、本当は年間何人いるの?ってね。


すごい話です。

日本の社会で生きるということは、常に死と隣り合わせ。

だから私は時々言ってますでしょ。

生きているだけで偉いんだよって。

自己肯定感が低い日本人には特に言えることですが、ついつい理想を追い求めたり、至らない自分を卑下したりしまいがちですけど、


 


本来は生きているだけで、実は凄い事なんじゃないのかなと思うのです。


 


日本人はもっと気楽に生きていいと思います。


 

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超訳「踊るドワーフ」#16

彼はとうとう最後にはなんとか思い出したが、それは3時間後で、太陽は沈みかかり、退出時刻間際だった。
「あいつだ!」彼は叫んだ。「ステージ6の老人! 知ってるだろう? 人工頭髪を生やしている奴だよ。君も知ってるはずだよ。長い白髪を肩まで垂らして、ほとんど歯が無い奴。革命前からずっとここで働いているんだ」
「ああ!」私は言った。「彼か」
私は彼を居酒屋で何度か見たことがある。
「ああ、彼はずっと前に私にドワーフの話をした。彼はそいつはいいダンサーだったと言った。私はたいして気にも留めなかった。彼は老衰しているんだと思ってな。だが、今は私には分からない。結局、彼は頭がおかしかったわけではないのかもしれない」
「それで、彼は君に何て言ったんだ?」
「ううん、あまりはっきり覚えていない。だいぶ前のことだしな」彼は腕を組んで再び考えにふけり始めた。だが、思い出せそうにはなかった。彼はstraight upして(訳者注:意味不明。straightを動詞として使う用法は私の辞書には載っていない。背筋を伸ばすか、組んでいた腕をほどいたのかと思う。)言った。「思い出せん。自分で彼のところに行って聞くんだな」


***

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空を眺め、雲が往くのを眺め、風が吹くのを感じれば、
それだけで人生は生きるに値します。

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