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資本主義の奴隷・貧民階級が共産主義を怖がる可笑しさwww

「Deeply Japan」記事で、徽宗皇帝のブログ向きの内容だが、DSについては耳タコだろうから、こちらに備忘的に載せておく。

そもそも、戦後、WACL(世界反共連盟)という組織が作られてたけど、これはだって、考え方としては、枢軸国側がいってたanti-commintern pact(防共協定)と一緒でしょ、ずっとそうなんだよ、と笑ってたりもする。

つまり、世界は第二次大戦のまま「ロシアは悪者!!」と叫び続けているということ。違いは、今は「中国は悪者!!」が加わっていることか。馬鹿だねえ。金持ちはともかく貧乏人が社会主義や共産主義を怖がってどうする。そもそも、共産主義など実現不可能であるのは明白ではないか。自分で怪談を作って、その怪談で自分が怖がっている。共産主義は、実在しない幽霊なのである。
それよりも、貧乏人の懐から無慈悲に税金(電気料金、つまり原発維持費もその一種)や年金を搾り取る政府のほうが怖い。その政権に選挙で票を入れる貧乏人たちwww

(以下引用)

■ 正統DS問題
しかしそこに至る道は、多分前よりはだいぶ道がついてきた気がしないでもない。こうして人が歩けばそこが道になるのです、といったところ。
今年のヒット作としてはこれでしょうか。今年6月に出た本。
American Exception:Empire and the Deep State 
 
アメリカの例外:帝国とディープステート
というあんまりおもしろくないタイトルですが、しかし実際まさしく、アメリカは自分だけあらゆるものの例外として法の上にある存在みたいな規定の仕方をしちゃっているが、それは別に秘密でもなんでもなく、そういう構成になるにあたってむしろ鍵になるのがディープステートなんです、という本といってよさそう。
ディープステートがいるのか否かでも、存在の中身を追うのでもなくて、deep stateが、public state(普通の国)を支配してる、控え目にいっても強くコントロールしているという構造を問題にしている。
ケネディが大慌てをしたいわゆるキューバ危機(ほんとは「トルコにミサイルなんか置くからこうなった危機」)での顛末とかアフガニスタンでテロリスト使おうと画策したり、といったことは、明白に、パブリックのあずかり知らぬ間に行われた。アメリカ人が議論して冷戦にしたわけでも、アメリカ人が討論の果てにムジャヒディーンを歓迎したわけでもない。
アメリカの民主主義はファサードである、と既に1950年代に言った人がいたらしいんだけど、パブリックが、自分たちが中心になって運営している国でございます、民主主義でございますと思わせてるけど、既定路線作ってるのはディープなところで、それがずっと生きてるんだよ、という構造理解のすすめ、とも言えるかも。
未読なのになんでそんなことを言えるのかというと、この若い著者Aaron Good がネット上でたくさん話しているのでそれを聞いたから。
例えばこれ。
Criminality of US empire and deep state with historian Aaron Good
若いというのが非常に良いんだろうとも思った。つまり、こんなにたくさんいろんな資料があるんだから、それを素直に読んで毎日の事象をおっかければ、そんなに理解に苦しむような話じゃないでしょ、という感じがある。
アメリカというのは皆さんが想像しているより遥かに悪いです、アメリカは民主主義というよりオリガーキ支配です、ロックフェラーはその代表格と苦痛もなく言ってる。アレン・ダラスが構造を作って行く下りなども面白いし、この道徳なきおっさんを追いながら、アメリカがインドネシアを狙っていく話などは、恐ろしいとしかいいようがない。
また、今日的な問題としては、deep stateはナチに入れ込んでた人たちがいただけでなく、戦後も一貫して悪いとも思ってない、アメリカはナチの楽園になってましたの話も盛り込まれている。そして、日本もこれと同様で日本はエスタブは変わってない、ヨシオ・コダマという戦犯になるべき男の話もしてた。
そもそも、戦後、WACL(世界反共連盟)という組織が作られてたけど、これはだって、考え方としては、枢軸国側がいってたanti-commintern pact(防共協定)と一緒でしょ、ずっとそうなんだよ、と笑ってたりもする。
deep state側の人たちが鉱物資源を狙ってるのみならず、アヘンの利益も大きい、これはアフガニスタンのところでポンと出た話ではなく、イギリスのアヘン戦争の頃も、WW2の頃もそう、そもそもアメリカが金持ちになっていく過程で大金持ちになった人たちの中にはアヘン貿易で儲けた人がけっこういる、etc。
思い付くままを書いただけだけど、要するに、多くの場合タブー化されていて、表では大っぴらに言わないお約束になっていたことを、こんなに記録あるのに?と思う世代の学者が大部の著作をものにしたといったところか。
オリバー・ストーン、ピーター・カズニックが推薦の言葉を書いてるみたいだけど、実際これは彼らの「オリバー・ストーンが語る もうひとつのアメリカ史」のハードコア版と言えるかもしれない。
 
■ 相乗効果
で、なんでこういう世代が生まれるのかというと、インターネットという便利なものによって検索が異常に簡単になったこともそうだけど、もう1つ重大なことがある。それは、アメリカの例外主義(=無法主義)によって、えらい目に合ったところの人たちが、ウチにも資料あるからな、とものを言うようになり、その流れが止めようもなくなったから、というのもあるでしょう。
そこで、やたらに検閲したがる西側社会になってるんだろうなぁと思う。特に、ヨーロッパがロシア・メディアの排除に熱心なのは現行のウクライナ問題だけではないと思う。
大変だけど、面白い時代だ。
■ オマケ
著者アーロン・グッドが、思わぬ組み合わせに出てきて、それがとてもよかった。一番右のまだおにいちゃんぽさのある人がアーロン。
左のおじさんはスコット・リッター、真ん中のおじいさんは元CIAアナリストのラリー・ジョンソン。
二人の現場の人と絡むというのはこの人にとって新境地だろうけど、御用学者じゃない人による歴史事象を抑えながらの分析という、デマだらけの現状にとって大変役に立つ役割があるよ!と思った。
政治科学の博士号を持つ人が書く構造分析だから、そういうのが好きな人、つまり書斎派に好まれそうな本になる確率が高いわけだけど、それじゃ惜しい。じいちゃんたちに揉まれて、地政学興味のクラスターに読んでもらったらいい。地平が広がる!
■ 参考記事
アメリカが「許した」731部隊とナチ残党
ウクライナのナチは戦犯逃れと西側支援の産物 by ザハロワ
https://blog.goo.ne.jp/deeplyjapan/e/d5544601adda5a5ecd30fd291970950f
戦犯逃れと西側支援の産物:極東編

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手紙配達者(文づかい)30 *最終回

「私の家もこの国では名のある一族ですが、いま勢いのある国務大臣ファブリイス伯とは深い好(よしみ)があり、この事を表から願えばたいそうたやすいだろうと思えましたが、それが叶わないのは父君の心が動かしがたいためだけでなく、私の性格として、人とともに嘆き人とともに笑い、愛憎ふたつの目で長い間見られることを嫌うので、このようなことを誰かに伝え、誰かに言い継がれて、あるいは勧められ、あるいは諫められる煩わしさに耐えません。まして、メエルハイムのような心の浅い人に、イイダ姫は自分を嫌って避けようとしているなどと、自分ひとりに関わることのように思い見做されては口惜しいことでしょう。自分からの願いと人に知られないで宮仕えをする手段はないかと思い悩むうちに、この国をしばらくの宿として、私たちを路傍の岩や木のように見るだろうはずのあなたが、心の底にゆるぎない誠を包みなさっていると知って、以前から私をいとおしんでくださっているファブリイス夫人への手紙を、ひそかに頼み申し上げました」
 「しかしこの一件のことはファブリイス夫人が心に秘めて親戚にさえも知らせなさらず、女官の欠員があるのでしばらくの勤めとしてと言って呼び寄せ、陛下のご希望を断りにくいとして遂にこうしてとどめられています」
 「浮世の波に漂わされて、泳ぐことを知らないメエルハイムのような男は、私を忘れようとして白髪を生やすこともないでしょう。ただ痛ましいのは、あなたが宿りなさった夜、私のピアノを弾く手をとどめさせた子供です。私が発った後も夜な夜な小舟の纜(ともづな)を私の部屋の窓下につないで寝てましたが、ある朝羊小屋の扉があかないのに気付いて、人々が岸辺に行ってみると、波が空っぽの舟を打って、残っていたのは枯草の上の一枝(一本)の笛だけだったと聞きました」
 語り終わる時、午夜の時計が朗らかに鳴り、もはや舞踏は長い休憩となり、妃はお休みなさる時なので、イイダ姫は慌ただしく座を起(た)って、こちらへ差し伸ばした右手の指に私の唇が触れる時、隅の観兵の間に設けた夕餐に急ぐ客人が群れをなしてここを過ぎた。姫の姿はその間にまじり、次第に遠ざかって、時折人の肩の隙間に見える、今日の晴衣(はれぎ)の水色だけが名残りであった。



*これで全部終わりである。余韻嫋々という感じの作品で、兎唇の醜い少年のけっして報われるはずのない絶望的な恋が憐れではないだろうか。私はイイダ姫の性格も好きである。自我の強さと優しさと賢明さが共存している。顔があまり美人でないところもいい。

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手紙配達者(文づかい) 29

「メエルハイムはあなたの友人です。悪いと言えば、弁護もなさるでしょう。いいえ、私もその真っすぐな心を知り、顔立ちも優れているのを見る目が無いのではないが、長年つきあった末に、私の胸に埋もれ火ほどの温かみも出てこず、ただ厭うと増すのがあちらの親切で、両親の許した交際の表面上、腕を借(注:原文のまま)されることもあるが、ただ二人になった時は、家も庭園も、行く方も無く鬱陶しく思えて、思わずため息をついて頭が熱くなるほど耐えがたくなる。なぜと問いなさるな。それを誰が知りましょうか。人を恋するのも、恋するがゆえに恋すると聞いてます。嫌うのもまた同じでしょう」
 「ある時、父の機嫌が良いのを見て、自分の苦しさを言い出そうとしましたが、私の様子を見て半分も言わせず、『世に貴族と生まれた者は、卑賎な者のような我儘な振る舞いは思いもよらないことである。血統の権利の代償は人の権利である。私は老いてはいるが、人の情けを忘れたなどとは夢にも思うな。向かいの壁に掛けた私の母の絵姿を見なさい。心もあの顔のように厳格で、私に浮ついた心を起こさせなさらず、私も世の楽しみは失ったが、幾百年の間、卑しい血を一滴も混ぜることのなかった家の名誉は救った』といつもの軍人らしい言葉つきの荒々しさに似ない優しさに、前もってこう言おう、こう答えようと思っていた計画も、胸にたたんだまま、その計画を別の方向に変えることもできず、ただ心が弱くなって終わりました」
 「もともと父に向かっては返す言葉も知らない従順な母に、私の心を明かして何になろうか。しかし、貴族の家に生まれたと言っても私も人間です。父母がいまいましい門閥、血統への盲信の土くれと見破っては、私の胸の中に投げ入れるところがありません。卑しい恋に浮身をやつせば、姫御前の恥になりましょうが、この習慣の外に出ようとするのを誰が支えましょう。『カトリック』教の国には尼になる人があるとは言っても、ここ新教のザクセンではそれもかなわない。そうだ、あのローマの寺に等しく、礼を知って情けを知らない王宮こそ、私の墓穴だろう」


 夢人注:イイダ姫の言葉の敬体が途中から常体が増えるのは、途中からは激して相手への言葉ではなく自問自答になっているからだろう。その言葉の乱れこそが表現の妙だと思う。だいたいそのままに訳した。
 夢人注:「父母がいまいましい門閥、血統への盲信の土くれと見破っては、私の胸の中に投げ入れるところがありません。」とは、縁談問題に関しては父母はもはや考慮の外で、無に等しいということだろう。

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LGBTブームは去りつつあるか

まあ、実際にブームが去ったのかどうかは知らないが、そういう感じはあるようだ。そもそも、LGBT問題は、当事者たちより政治家(NPO含む政治的存在)やマスコミが騒いでいただけ、とも言える。当事者たちにはかえって迷惑ではなかったか。とにかく、「リベラル」、あるいはリベラルまがいという連中は、「自由の拡大」つまり、世界の無秩序化を絶対的正義と思う馬鹿が多い。そんなに無秩序がいいなら、警察も裁判所も廃止して、ピストルも解禁してレイプ・殺人やり放題にしたらいい。
伝統というのは大きな存在意義があるから伝統になったのである。
もっとも、インドのカースト制度などが「伝統」の名のもとにいつまでも存続するのは単なる「既得権益」集団の利益のためだろう。LGBTにしても、存在すること自体はある種の「伝統」ではある。では、世界の人間がすべてLGBT化したらどうなるか? 当然、人類絶滅である。問題は冷静な損得勘定である。LGBT差別の撤廃が、なぜ女子トイレを無くすことにつながるのか。

(以下引用)あまりに差別的なコメントやあまりに馬鹿なコメントは削除。
元スレ:http://livegalileo/1695262840/
1 :それでも動く名無し:2023/09/21(木) 11:20:40.03 ID:SsrIZByya
 
みんな飽きた模様

 
2 :それでも動く名無し:2023/09/21(木) 11:21:15.47 ID:huC23kyyd
押し付けがましいからね

 
4 :それでも動く名無し:2023/09/21(木) 11:22:01.61 ID:vOrlCiK+d
左派の政治の道具でしかないからね


7 :それでも動く名無し:2023/09/21(木) 11:24:02.21 ID:pSfN+QzId
結局得したの女子トイレ大好きおじさんだけだったな
 
 
9 :それでも動く名無し:2023/09/21(木) 11:24:38.76 ID:dSkALlOHd
BLMもLGBTも萎んだな 

8 :それでも動く名無し:2023/09/21(木) 11:24:32.26 ID:4kHcloHI0
サルのすけからのジャニーだもんもうどうしょうもないよ 
 
 
10 :それでも動く名無し:2023/09/21(木) 11:26:00.54 ID:bxMMqOiWd
さすがジャニーさん 
 
 
15 :それでも動く名無し:2023/09/21(木) 11:28:23.75 ID:NVtJ6uAad
ジャニーの御霊が日本を救ったんやな 

 
17 :それでも動く名無し:2023/09/21(木) 11:29:45.36 ID:cGj/5Ljhd
ジャニーズ問題明らかになってからLGBT族 
どもダンマリよな 
 

 
14 :それでも動く名無し:2023/09/21(木) 11:27:37.43 ID:A7xOZ4nkd
チ○コ付き女性アスリートブームも終わりそうで良かった




 
16 :それでも動く名無し:2023/09/21(木) 11:29:12.22 ID:C3AjCApR0
そもそも最初から誰も得しないやろ

あら^~とか言ってる百合豚だって
ただイチャイチャしたりキスしたりする程度のが
好きなのであってガチのレズビアンなんか求めてないわけやし
当然ホモもトランスジェンダーも気持ち悪いしマジで需要ない
 

 
24 :それでも動く名無し:2023/09/21(木) 11:36:38.32 ID:ONz7thLC0
>>16
レズもホモも付き合える異性を減らすノンケの敵だよな
少子化社会に反する国賊とも言える

 
21 :それでも動く名無し:2023/09/21(木) 11:34:04.32 ID:oEYxn/uw0
カテゴリ的にロ○コンと一緒じゃんみたいな意見に対して
ロ○コンは判断能力のない子供に手を出すから違う!
みたいなこと言うてたのがLGBT界隈やけどさ
最近じゃその判断能力のない子供に手を出してるのがLGBT界隈なんよな
だからあんまりもう言えなくなってきたよね

 

 
 
23 :それでも動く名無し:2023/09/21(木) 11:35:37.82 ID:U3dKn1PGd
当事者よりも「理解してあげてる私たち!」みたいな感じで
周りが騒いでた感凄かったし、単に飽きただけとちゃうか

 
30 :それでも動く名無し:2023/09/21(木) 11:43:36.47 ID:7eST7x7Ld
思ったより得票に繋がらず政治的な旨味が少なかっただけやで
 
 
25 :それでも動く名無し:2023/09/21(木) 11:37:03.88 ID:TiU6wJNC0
生物学的にエラーな存在が権利拡大の為に暴れまくってんの怖かった


 

 
32 :それでも動く名無し:2023/09/21(木) 11:44:23.28 ID:2oZLIUnl0
メディア等は自爆気味にがんじがらめになってそうだけど

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手紙配達者(文づかい)28

淡い緋色の地に同じ色の濃い唐草模様を織り出した長椅子に、姫は水色衣のスカートの、威厳のある大襞(ひだ)が、舞いの後でも少しも崩れたところが無いのを、身をひねって横向きに折りながら腰掛け、斜めにある中段の棚の花瓶を扇の先で指さして私に語り始めた。
 「早くも去年の昔になりました。突然にあなたを手紙の使者として、その後お話する機会もなかったので、私の事をどうお思いになっておられたでしょう。けれども、私を煩悩の闇路から救い出しなさったあなたを、心の中では少しも忘れておりません」
 「近頃、日本の風俗を書いた書物をひとつふたつ買わせて読んだところ、あなたの御国では親の結ぶ縁組があって、まことの愛を知らない夫婦が多いと、こちらの旅人がいやしむように記したところがありましたが、これはあまり良く考えていない言葉で、こういうことはこの欧羅巴でも無いことがありましょうか。いいなずけするまでの交際が長く、互いに心の底まで知り合うことの意義は、結婚を諾(はい)とも否(いいえ)とも言い得る中にこそありましょうが、貴族仲間では早くから目上の人に夫婦と決められた男女が、心が合わなくても拒む手段が無いまま、日々に互いに見て相手を忌む心がこの上なく募った時、女がその男に嫁がされる習いは、実に道理の無い世の中です」

  夢人注:3行目の「斜めにある中段の棚の花瓶を扇の先で指さして私に語り始めた」が、その後の姫の話と無関係な動作なので、その後の話を読むと、この動作の意味不明さに悩む読者もいるだろうが、これはおそらくこの部屋で二人が話をしているのを、部屋の外を通り過ぎる人に怪しまれないためのカモフラージュだろう。逆に、こういう部分に作者の周到さが分かる。行間の読めない読者は最初から切り捨てているわけだ。
 夢人注:2行目の「身をひねって横向きに折りながら腰掛け」は、ほぼ原文直訳。「折りながら」の主語は、ドレス(スカート)だと思うが、自信はない。原文は「身をひねりて横ざまに折りて腰掛け」。「裳」をスカートとしたのは間違いかもしれない。ドレスが適訳か。古語辞書は持っていないのである。

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手紙配達者(文づかい)27

時が遷(うつ)るにつれて黄蝋の火は次第に芯の炭化した部分が多くなって暗くなり、燭涙が長く滴って、床の上には千切れた紗、落ちた花びらがあり、前座敷の間食の卓(テーブル)に通う足が次第に繁くなってきた時、私の前を通り過ぎるようにして小首を傾けた顔をこちらに振り向け、半ば開いた舞扇に頤(おとがい)のあたりを持たせかけて、「私を早くも見忘れなさったでしょう」と言うのはイイダ姫である。「けっして」と答えながら、二足三足ついて行くと、「あそこの陶器の間を見ましたか。東洋産の花甕に知らない草木鳥獣などを染め付けたのを、私に解説してくれる人はあなた以外にはありません。さあ」と言って伴って行く。
 ここは四方の壁に造り付けた白石の棚に、代々の君が美術に志があって集めなさった国々の大花瓶が、数える指が足りなくなるほど並べてあるが、乳のように白いもの、瑠璃のように青いもの、さては五色まばゆい蜀錦の色であるものなど、陰になった壁から浮き出て美しい。しかし、この宮殿に慣れた客たちは、今宵はこれに心を留めるはずもないので、前座敷に行き交う人がおりおり見えるだけで、足をとどめるものはほとんどなかった。

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手紙配達者(文づかい)26

王族が広間の上座に行き着きなさって、国々の公使、またはその夫人などがこれを囲む時、あらかじめ高廊(夢人注:広間の中二階のバルコニー状の席か)の上に控えていた狙撃連隊の楽人がひと声鳴らす太鼓と共に「ポロネーズ」という舞が始まった。これはただそれぞれが右手に相手の婦人の指をつまんで、この間(ま)を一巡りするのである。列の先頭は軍装した国王が紅衣のマイニンゲン夫人を延(ひ)き、続いて黄絹の裾引き衣(注:長いドレスだろう)をお召しになった妃に並んでいるのはマイニンゲンの公子であった。わずかに五十対ばかりの列が巡り終わる時、妃は冠の印のついた椅子に倚(よ)って、公使の婦人たちを側に居らせなさったので、国王は向かいの座敷にある骨牌(カルタ、トランプ)卓(つくえ)の方へ移りなさった。
 この時、本物の舞踏が始まって、群客がたちこめた中央の狭いところを、たいそう巧みに巡り歩くのを見ると、多くは若い士官が宮女たちを相手にしているのである。我がメエルハイムが見えないのはなぜか、と思ったが、近衛兵でない士官はおおむね招かれないのだ、と悟った。さて、イイダ姫が踊る様はどうか、と芝居でひいきの俳優を見る気持ちで見守ると、胸に薔薇の生花(せいか)を茎のついたまま付けた以外には飾りと言えるものはひとつも無い水色衣の裳裾が狭い間をくぐりながら、たゆまぬ輪を描いている姿は、金剛石(ダイヤモンド)の露がこぼれる華美な貴婦人の服の重たげな様子を圧倒している。

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HN:
酔生夢人
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男性
職業:
仙人
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自己紹介:
空を眺め、雲が往くのを眺め、風が吹くのを感じれば、
それだけで人生は生きるに値します。

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