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隣のエイリアン 第九章






第九章 招待された客たち


 


もちろん地球人が我々とは違うとは言っても、「顔の貸し借り」はできないだろうと思ったから、「顔を貸せ」がいわゆる「慣用句」だろうな、ということはすぐに理解したが、それがどういう意味かはまだ分からなかった。


だが、娘たちが先に立って歩きだしたので、私に何か用があるのは確かだろうと判断して私はその後に付いて行った。


「たらたらしてんじゃねえよ」遅れて付いて行く私に、娘のひとりが後ろを振り向いて言った。


これも「慣用句」だな、と思い、その口調から、私は自分が叱られたのだと判断したが、なぜ叱られたのかは分からない。「タラ」というのは魚の一種だと思うが、それが重なって「タラタラ」というのは何か。また、それが「タラタラする」という動詞になるのはなぜか。


まあ、後でその言葉の意味は聞けばいい。


 


娘3人は、公園の一番奥まったところで立ち止まり、私の方を向いた。


私には地球人や日本人の顔の美醜は分からないが、3人ともテレビの歌番組に出るBKA48のメンバーにいそうな顔である。それが日本人の娘の平均的な顔か、特別な顔かは分からない。私には、テレビで見た娘たちや目の前のこの娘たちの顔の微細な違いは分かるが、その「優劣」は分からない。ただ、この娘たちの視線が鋭く、あまり友好的な表情ではないことは分かった。その中のひとりが「リーダー」という存在だな、というのが何となく分かったのは、人間は複数になると必ず上下関係を作る、ということをこの前から意識して、テレビドラマや映画などを見ていたためだろう。つまり、何のためらいもなく(他者の承諾なく)発言・行動するのはリーダーで、他のふたりは何かの言動をする前に必ずそのリーダーの顔(表情)の確認をすることが、その後の事態の進展で分かったのである。


 


「おい、お前(「おめえ」に近い発音をした。)、高校生か」


「いや、まだ高校には入っていません。休学中です」(英国と日本の学制のタイムラグ期間はそういうことになるのだろう。)


「何だ、どっか悪いのか。それともサボりか。引きこもりか」


「ええと、どうでしょう。よく分かりません」


「まあ、引きこもりがこんなところをうろついちゃあいないか。ところで、カネは持っているか」


「はい。持ってます」


「財布を出しな」


私は財布を出した。


「お、すげえ持ってんじゃん。20万くらいあるな。半分もらうぜ」


「全部いただきましょうよ」と他の娘が言った。


「まあ、半分で十分だ」


私は笑った。「半分」と「十分」が、いわゆる洒落というものだと思ったのだ。


「何がおかしい。全部貰ってほしいのか」


「必要でしたらどうぞ」


「変な奴だな。まあ、気に入った。少し付き合え。ゲーセンに行こう」


「ゲームがやりたいなら、僕の部屋にもありますが」


「おっ、ご招待かい。どうせスケベでもしようってんだろ」


私の部屋にゲーム機があるのは事実で、それでネットテレビなどを見たり、有名なゲームをしたりしているのだが、正直言って、ゲームというのは小説以上に理解ができないものだった。つまり、何が面白いのか分からないのである。


「タマコさん、男1人に女3人ですか?」


「こいつが持たねえか。まあ、このお坊ちゃんがどんな家に住んでいるか、見たいじゃないか」


「家じゃなくて、部屋です。マンションとか言いますね」


「マンションってのは家じゃねえのか。そう言えばそんな気もするな。で、ここから近いのか」


「歩いて行けます」


「なら話は簡単だ。行こうぜ」



















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HN:
酔生夢人
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男性
職業:
仙人
趣味:
考えること
自己紹介:
空を眺め、雲が往くのを眺め、風が吹くのを感じれば、
それだけで人生は生きるに値します。

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